「イチは永遠に…」 2打席無安打から元指揮官が読み取ったイチローの思い
試合後には約150メートルを肩を並べて歩いた2人
8回、2打席目に備えてウエイティングサークルで素振りを始めたイチローが、一塁側へ向けたヘルメットのつばに指を触れて会釈する場面があった。試合後、2本のバットを片手に引き上げるイチローを待ち構えたワカマツ氏は、右翼ポール後方のビジター用クラブハウスまでの約150メートルを肩を並べて歩いていった。
昨年プレーしない立場になり、今季はマイナー契約から19年目のメジャーを目指すイチローの思いを感じ取った、とワカマツ氏は明かした。
「ハードなトレーニングを積んで体の状態は非常にいいと聞いた。(3月に)日本のファンの皆さんにプレーを見てもらうためもあったと思うが、意欲的に取り組んできたオフのトレーニングが充実していたと言っていた。とてもハードだったようだ。日本での開催試合は、彼にとって、とても意味のあることなんだと僕は感じさせられたよ」
ワカマツ氏は最後、笑みを浮かべてこう括った。
「イチは永遠にプレーしたいようだ」
2打数無安打――。かつての指揮官の観察眼には、今のイチローの思いが伝わる打撃がはっきりと映っていた。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)