いざ開幕スタメンへ! イチローが挑むマリナーズの熾烈な外野手争い
昨季40盗塁スミスの故障で不動の右翼手ハニガーは中堅へ?若手有望株ルイスも存在感
昨季までオリックスを指揮した福良淳一氏が米球団の視察でマリナーズのキャンプ施設を訪れた26日(日本時間27日)だった。オープン戦前の練習を終えたイチローはしばし同氏と談笑。その和みが一瞬、凛とした空気に変わったのは、凱旋フィーバーが予想される3月の開幕戦で東京に行くのかを問われ時だった。イチローは真顔で返した。
「まだわかりません。だってそういう立場ですから」
3月20、21日に東京で開催されるアスレチックスとの開幕シリーズでは、怪我人を考慮しベンチ枠が通常の25人から28人へと広がる。マリナーズのディポトGMは昨年10月1日に行った恒例のシーズン総括会見から一貫して「状態に問題がなければ28人枠に入れる」としている。先日もピオリアのキャンプ地で聞いた答えに変化はなかった。ただ、イチローが生き残りをかける意識で臨んでいるキャンプは、チーム再建の鍵とする「若手の育成」の現場にもなっている。
気になる外野の布陣に目を転じると、左翼はブルワーズから移籍した27歳のサンタナが首脳陣の期待にたがわぬ活躍をオープン戦で見せている。3試合に出場し6打数4安打、打率6割6分7厘、1本塁打4打点。右翼は昨季26本塁打93打点を挙げブレークした28歳のハニガーが不動。
ただし、レイズから移籍した昨季40盗塁の俊足巧打の25歳、中堅スミスがキャンプ前に痛めた右肘の回復が遅れ、未だにバットも触れずボールも投げられない状態。東京開催での出場は難しくなりつつある。サービス監督は東京開催でハ二ガーを中堅に回す考えも示している。またメッツから加入のブルースは左翼、一塁、DHの役回りでオープン戦に出ている。
2016年のドラフト1位、25歳のカイル・ルイスはイチローと同じマイナー契約の招待選手で、メジャー出場の前提となる40人枠入りを目指す逸材。オープン戦で2ランを放つなど猛アピールに出ている若手の筆頭だ。
2点適時打を放った22日のオープン戦初戦後、結果への捉え方はこれまでと違うかという問いにイチローは「そりゃやっぱり変わった立場がありますから。当然だと思います」と歯切れ良く答えている。
ここまでオープン戦4試合に出場し、8打数1安打2打点、3三振1盗塁、打率1割2分5厘で守備機会はない。イチローの巻き返しを期待したいところだ。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)