「投球回制限」で中学生を守るのは難しい? 「球数制限」とは似て非なるもの

中学野球協議会がガイドライン制定もエースの連投はルール上可能

「7回というのは、少年野球では『完投』になります。完投したうえで、次の日も3回投げることができる。もちろん、連続完投はできなくなりますから、指導者は2人目の投手を作る必要がありますが、大事な試合でエースが完投するパターンを変えなくても済みます。反対に言えば、現実的に対応が可能だったから、各団体もこれを受け入れたという見方もできますね」

 少年野球の指導者は言う。

 ガイドラインができたのは大きな前進ではあったが、効果は限定的だった。イニングは「3つのアウトを取ること」だ。この間の球数は、安打を打たれたり、四球を出したりファウルで粘られればどんどん嵩んでいく。1イニングの投球数は「15球」が目安とされるが、それでも7回投げれば105球。少しでも投球が乱れたり、打ち込まれたりすれば150球を超すことも珍しくない。

 そういうこともあって、少年野球の関係者からも「投球回制限では子供の肩、肘は守れない」という声が高まっていた。

 高校野球の「球数制限」議論でも、「投球回数制限でもいいのではないか」という意見が出ているが、「投手の投げすぎを抑制する」という本来の目的に照らせば「投球回制限」の効果は限定的だ。仮に7イニングで制限しても、1試合で150球を超す球数を投げる投手が何人も出てくるだろう。

「球数制限」と「投球回制限」は似て非なるもの、と言えるのではないか。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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