「投球回制限」で中学生を守るのは難しい? 「球数制限」とは似て非なるもの

投手酷使による健康被害が高校生より年下の年代の野球では大きな問題に
投手酷使による健康被害が高校生より年下の年代の野球では大きな問題に

球数を管理するのが「球数制限」イニング数で限定するのが「投球回制限」

 昨年末に新潟県高等学校野球連盟が、4月の春季県大会から「球数制限」をすると発表してから、にわかに「球数制限」が野球界の大きな話題となっている。この問題について考えていこう。

 高校生より年下の年代の野球では、主として投手の酷使による健康被害が、大きな問題になっている。アメリカでは2014年にMLBが主導して少年の投球数と登板間隔の年齢別のガイドライン「ピッチスマート」を制定した。アメリカでも「野球離れ」が始まっていたこともあり、MLBは迅速に手を打ったのだ。

 日本の少年野球が何もしなかったわけではない。2015年、ポニー、リトルシニア、ボーイズ、ヤング、フレッシュの少年硬式野球5団体からなる日本中学野球協議会は中学生投手の投球障害を予防するために、ガイドラインを制定した。

【中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン】
1、試合での登板は以下のとおり制限する。
1日7イニング以内とし、連続する2日間で10イニング以内とする。

2、練習の中での全力投球は以下のとおり制限する。
1日70球以内、週350球以内とする。また週に1日以上、全力による投球練習をしない日を設けること。

 以後、少年硬式野球はこのガイドラインで運営されたが、近年、全国で実施されるようになった「野球肘検診」の結果を見る限り、野球少年の健康被害は減っていない。

中学野球協議会がガイドライン制定もエースの連投はルール上可能

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