サッカー版“キャッシュレス開幕”で見えたもの 楽天が神戸で得た収穫と課題
野球とサッカーの違いとは?
“キャッシュレス開幕”を楽天イーグルス関係者はどう見ただろうか。楽天野球団経営企画室長の江副翠氏は「ご来場者様からの『お財布を探したり小銭を持ち歩いたりするストレスがなくなった』というお声やテナント店舗様からの『会計締め作業時間の短縮化やお金を触らずに接客できる』という衛生面の改善を喜んでいただけるお声などを聞くことができたことで、完全キャッシュレス化の方向性を改めて我々自身も再確認することができました」と成果を振り返る。
だが「キャッシュレス化のメリットの一つである「会計時間の短縮」については「改めて対応するスタッフの事前研修が大事だと痛感しております。2019年より全てのお買い物をする決済ポイントにおいて楽天ペイ、楽天Edy、クレジットカードが使えるようになるというのは、球場に出店いただいているテナントスタッフの皆さまにとっても、昨シーズンまでと取り扱っていた決済手段とは異なる扱いが出てくるケースも多く、各スタッフが、お客様へのご案内から各機器操作まで、スムーズに対応できるかというのも課題の一つであると考えております」と今後に向けた検討事項も明かした。
前述の鈴木氏は野球とサッカーについて2つの違いを指摘する。「まずはお客様の年齢層が違い、ファンの顔を思い浮かべるとサッカーより野球の方がやや高い傾向ですし、神戸と仙台の土地柄の違いも影響があると思います。また、野球はイニング間などの動きがあるので、飲食物の売上がサッカーよりも高く、決済件数も多くなります」と分析。特にサッカーの場合にはプレー中のスタンドで飲食物を売る「売り子」は存在しない。だが、野球の場合にはビールなどの飲料を中心に多くの売り子がスタンドで営業を行う。もちろん、売り子もキャッシュレスとなり、おなじみの1000円札を指にはさんで声をかけながらスタンドを練り歩く光景も一変する。ある意味では球史に残るかもしれない大改革のスタートと言えるだろう。
「開幕まで残りわずかとなりましたが、一つ一つ課題をクリアしながら準備を進め、お得にストレスフリーに観戦を楽しんでいただけるよう鋭意取り組んでまいります」と最後に江副氏は決意を明かした。4月2日まであと17日、キャッシュレススタジアムの船出に注目だ。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)