開幕戦は万雷の拍手で交代も無安打 イチローの打撃の“神髄”は戻ってくるか
ファンの感傷を誘う演出で交代も…結果の出なかった打撃から見えた現在の状態とは
■マリナーズ 9-7 アスレチックス(20日・東京ドーム)
咋年5月2日以来、322日ぶりのメジャー出場を東京ドームでの開幕戦で果たしたイチロー外野手(45)は20日、アスレチックス戦に「9番・右翼」で先発。二飛、四球の1打数無安打で、4回裏の守備で交代した。
開幕スタメンの期待に応えられなかった。
東京ドームを埋め尽くした4万5787人のファンが、目の前の光景に騒然となった。4回裏、マリナーズの野手が守備に散ると、サービス監督が主審に歩み寄り交代を告げる。その直後、4人の内野手とナルバエズ捕手が三塁線近くに下がり、右翼から引き上げるイチローを迎え抱擁。両軍ベンチはスタンディングオベーションでベンチに下がる背番号「51」を見届けた。
「いやいや知ってましたよ。2打席って。それ(ハグ)は分からなかった。でも、あれ日本のファンの人はね。どうなんだろう……。アメリカではよくやるけどちょっと戸惑っただろうね」
サービス監督の粋な計らいも、ファンの感傷を誘う演出となり、万雷の拍手がドームを包むまでに“間”が生まれた。
結果を残せなかった打撃には、今の状態をうかがわせる悪しき傾向がはっきりと表れていた。2番手右腕ヘンドリックスと対峙した4回表の第2打席、イチローはカウント2-1から4球続けてファウルで粘り四球を選んだが、4つのファウルには一塁側のファウルゾーンを突き抜ける打球があり、体の開きが微妙に早く本来のタイミングで呼び込め切れない結果の打球ではなかったか。
右方向へのファウルがないのがいい時のイチローだ。あっても右翼線の際どいところに飛んでいく。振り返れば、巨人とのプレシーズンマッチの打撃にも悪しき傾向が出ていた。17日の第1戦。6回表の3打席目、2-0のバッティングカウントから135キロの直球を強振し、強烈なライナーを放ったが、これが一塁ファウルゾーンへ。その翌日の第2戦。力のこもった投球で挑んできた3番手の戸根との勝負でイチローは見逃し三振を喫したが、全6球のうち放った2つのファウルはいずれも一塁ファウルゾーンへと転がった。