“イチロー節”全開、85分間の引退会見 一問一答ノーカット「孤独感は全くない」

「現在それ(孤独感)全くないです。今日の段階で、それは全くないです」

――日本の野球で鍛えられたことは?

「基本的な基礎の動きって、おそらくメジャーリーグの選手より日本だったら中学生レベルの方がうまい可能性だってありますよ。それはチームとしての連係もあるじゃないですか。そんなの言わなくたってできますからね、日本の野球では。でも、こちらではなかなかそこは……。個人としてのポテンシャル、運動能力は高いですけど、そこにはかなり苦しみましたよ。苦しんで、諦めましたよ」

――エンゼルスの大谷選手との対戦を楽しみにしていたけど、叶わなかった。イチローさんは対戦したかったか?

「先ほどもお伝えしましたが、世界一の選手にならないといけない選手ですよ。そう考えてます。翔平との対戦、残念ですけど、できれば僕がピッチャーで翔平バッターがやりたかったんですよ。そこは誤解なきようにお願いします」

――大谷選手は今後どのような選手になっていくと思いますか?

「なっていくかどうか? そこは占い師に聞いてもらわないとわからないけどねぇ。まぁでも、投げることも、打つこともやるのであれば、僕は1シーズンごとに、1シーズンはピッチャー、次のシーズンは打者として、それでサイ・ヤング(賞)とホームラン王を取ったら……だってそんなこと考えることすらできないですよ。翔平はその想像をさせるじゃないですか、人に。この時点でもう明らかに人とは違う選手であると思うんですけど。その二刀流は面白いなと思うんですよね。(記者に向かって)納得いっていない感じの表情ですけど。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打ってMVP獲ったら、これ化け物ですよね。でも、それが想像できなくないですからね。そんな風に思っています」

――現役野球選手じゃない自分は嫌だとインタビューで言っていた。

「僕は嫌だって言わないと思うけどね。僕、野球選手じゃない僕を想像するの嫌だとたぶん言っていないと思いますよ」

――改めて野球選手ではない自分を想像してどうか?

「いやだから、違う野球選手に多分なってますよ。あれ? この話さっきしましたよね。お腹減ってきて集中力が切れてきちゃって、さっき何話したのかもちょっと記憶に……。草野球の話しましたよね? そっちでいずれ……それは楽しくやっていると思うんですけど。そうするときっと草野球を極めたいと思うんでしょうね。真剣に草野球をやるという野球選手になるんじゃないですか、結局。聞いてます?」

「お腹減ってきたもうー。結構やっていないですか、これ。今時間どれくらい? 1時間? 20分? あらー。今日はとことんお付き合いしようかなと思ったんですけどね。お腹減ってきちゃった」

――プロ野球人生振り返って、誇れることは?

「これ、先ほどお話しましたよね。小林君もちょっと集中力切れてるんじゃないの? 完全にその話したよね。ほらそれで1問減ってしまうんだから」

――イチロー選手の小学生時代の卒業文集に「僕の夢は一流の野球選手になることです」と書いていたが、その当時の自分にどんな言葉をかけたいですか?

「お前、契約金1億(円)ももらえないよって。ですね。いやー夢は大きくと言いますけどね、なかなか難しいですよ。ドラ1の1億って掲げていましたけど、全然、遠く及ばなかったですから。いやー、ある意味では挫折ですよね、それは」

「こんな終わり方でいいのかな? なんかきゅっとしたいよね、最後は」

――前のマリナーズ時代、何度か「自分は孤独を感じながらプレーしている」と話していた。ヤンキース、マーリンズとプレーする役割が変わってきて、去年ああいう状態があって今年引退。その孤独感はずっと感じてプレーしていたのか。それとも前の孤独感とは違うものがあったのか。

「現在それ(孤独感)全くないです。今日の段階で、それは全くないです。それとは少し違うかもしれないですけど、アメリカに来て、メジャーリーグに来て……外国人になったこと。アメリカでは僕は外国人ですから。このことは……外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることはできたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと、今は思います。だから、辛いこと、しんどいことから逃げたいと思うのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気なときにそれに立ち向かっていく、そのことはすごく人として重要なことなのではないかなと感じています」

「締まったね、最後。いやー長い時間ありがとうございました。眠いでしょ、皆さんも。ねぇ。じゃあ、そろそろ帰りますか、ね」

(Full-Count編集部)

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