日ハム、開幕3連戦で極端な守備シフトを採用したワケ 「去年から温めていた」
オリックス吉田正が打席に入った際に極端な守備シフトを採用
日本ハムが今季、極端な守備シフトを採用している。オリックスとの開幕3連戦(札幌ドーム)では、4番の吉田正尚外野手が立った15打席中6打席で三塁手を一、二塁間の後方へ配置。侍ジャパンでも4番を務めた主砲を13打数1安打と抑え込んだ。
走者なし、もしくは走者一塁の場面を基本としたが、採用しない場面もあれば、三塁手が三遊間、遊撃手が二塁ベース後方へと移動する緩やかなシフトを敷く場面もあった。緒方耕一守備チーフ兼内野手守備走塁コーチは「投げているピッチャーにもよるし、状況にもよる」と説明。データに基づいて、栗山監督が判断を下している。今回、吉田正に対して極端なシフトを敷いた6打席の結果は一ゴロ、左飛、三振、二ゴロ、一直、左安だった。
「監督がやりたいと去年から温めていた」と緒方コーチは明かす。データによって野手を動かすため、バッテリーの配球はこれまで通り。シフト用の特別な配球をすることはない。31日の第3戦で3打数無安打に抑えた有原航平投手は「確率に基づいてやっているので、投げる方はあまり気にせずにやっています」と言う。
シフトを破られたときの考え方は徹底している。「(三塁前に)セーフティーをされてもホームランじゃなければいい」と緒方コーチ。「定位置ならアウトだったかなという打球も出てくる。その時にピッチャーが引きずらないように、割り切ってやるようにピッチングコーチが話してくれている」とチーム全体で意思統一もできている。
今回の吉田正シフトで三塁手を一、二塁間後方に移動させたのは、三塁手を務めた浅間大基外野手と横尾俊建内野手に外野経験があるからだ。「サードに一番近い動きはあそこだし、(外野と)風景にも似ている。一、二塁間を抜ける打球を阻止することが仕事」と緒方コーチは話す。実際に吉田正シフトで守った浅間は「ふだん守らないところなので変な感じはありましたが、これからもあると思うでしっかりやりたい」と前向きに取り組んでいる。
栗山監督にとっても新たなチャレンジだ。「シフトを敷いているつもりは全くない。打球が行きそうなところに守りましょうというだけ。アメリカに習っているわけではなくて、日本でいいものを新しく作らなきゃいけなければいけないと思ってやっている。まだ野球はいろんなところにやり方があるはずなので」と力を込める。
実際に公式戦でやってみて、マイナス面も含めて色々なことが見えてきたという。「選手たちにもいろんな意見を言ってくれと話しているし、やればやるほど見えてくるものなので。しっかり考えてやります」と固定観念にとらわれずに新たな可能性を模索する考え。8年目を迎えた栗山野球はまだまだ進化する。