BC栃木の前阪神・西岡剛、3安打3打点 ド派手な独立Lデビュー「体は動く」

2016年に左アキレス腱断裂「今は生かされた野球人生なんです」

 8回無死一塁で迎えた4打席目は変化球をうまくバットに乗せ左前へ。次の打者への初球にすかさず盗塁も決めた。役者には9回無死満塁の絶好機がクライマックスに用意され、右翼線へと抜ける一塁強襲の打球で応えた。走者一掃の適時三塁打。あと本塁打が出ていればサイクル安打というド派手な独立リーグデビューだった。

 空を見上げれば、雲ひとつない春空。3000人超の観客は、敵味方関係なく声援をくれた。NPBへの返り咲きを心に誓い、求めた新天地。背番号に込めた「1」からの戦いが始まり「幸せです」と噛みしめる。もちろん、周囲にとって自身が「特別な存在」だということも分かっている。一挙手一投足に神経を行き届かせ、たとえ凡退しても走ってベンチへと戻る。練習の日も誰よりも早く来て、グラウンドが開いていなければ外周を走る。「お手本」という言葉を報道陣に向けられると、「そこまでは……」と謙遜した。

 阪神時代の16年に、左アキレス腱断裂を経験。選手生命を脅かされた。「あそこで1回死んでしまった。だから今は生かされた野球人生なんです」。蘇ったからには、もうひと花咲かさねば。今ここで、立ち返るのは原点。数多のファンを魅了してきた「スピードスター」を追い求めた先に、再び輝ける場所が待っているはずだ。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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