首位打者獲得には“スタートダッシュ”が重要? パ過去10年の傾向は…

過去10年間で10選手中9選手がシーズン序盤から高打率をマーク

2016年 角中勝也(ロッテ)
3月:5試合 15打数7安打 打率.467 0本塁打 1打点
4月:23試合 90打数28安打 打率.311 0本塁打 10打点
合計:28試合 105打数35安打 打率.333 0本塁打 11打点
シーズン通算:143試合 525打数178安打 打率.339 8本塁打 69打点

2017年 秋山翔吾(西武)
3月:1試合 5打数0安打 打率.000 0本塁打 0打点
4月:22試合 86打数30安打 打率.349 5本塁打 11打点
合計:23試合 91打数30安打 打率.330 5本塁打 11打点
シーズン通算:143試合 575打数185安打 打率.322 25本塁打 89打点

2018年 柳田悠岐(ソフトバンク)
3月:2試合 6打数2安打 打率.333 0本塁打 2打点
4月:21試合 79打数28安打 打率.354 5本塁打 17打点
合計:23試合 85打数30安打 打率.353 5本塁打 19打点
シーズン通算:130試合 475打数167安打 打率.352 36本塁打 102打点

 以上のように、10選手中9選手が開幕直後の時点で打率.310を超える高水準の数字を残しており、序盤からその後の活躍につながる打撃を見せていたことがわかる。この10年間で複数回首位打者を獲得したのは角中と柳田の2名のみで、のべ8人のタイトルホルダーが誕生しているため、選手個々の特性によって傾向が偏っているとも言えないだろう。

 この中では唯一、2013年の長谷川勇だけ3・4月合計の打率が3割を下回っている。打率.288という成績は決して不振というほどの数字ではないものの、4月の月間打率は.265とやや調子を落としていたのは確かだった。しかし、続く5月に打率.362、6月には打率.436と猛チャージをかけ、最終的にはシーズン通算打率.341、198安打という素晴らしい成績を残している。

 また、2010年の西岡も、月間打率が5割を超えた3月の大爆発によって3・4月の通算打率こそ良好な数字となっているが、4月だけでいえば打率.245と、今回取り上げた選手の中では最も低い数字だった。しかし、5月に月間打率.417と再び調子を取り戻し、その後も史上最多タイとなるシーズン27度の猛打賞を記録するほどの活躍を継続。打率.346に加えてNPB史上5位の206安打と、シーズンを通してリードオフマンとして卓越した成績を収めている。

 それ以外の選手は4月単体の打率でも3割を超える数字を残しており、首位打者を獲得するためにはシーズン序盤の活躍がほぼ必須という結果が出ている。打率上位をキープするためには年間を通じた安定感が欠かせないのは言うまでもないが、その「年間」という言葉の中には、もちろんシーズンが始まってから間もない時期も含まれるということなのだろう。

 母数が少ないぶん、開幕直後の打率ランキングは例年大きな変動を見せがちだ。しかし、上記の結果を見るに、シーズン序盤に好調だった選手の中から首位打者が誕生する可能性もまた非常に高いと言えそうだ。今季も多くの選手が開幕から好調な打撃を見せているが、その中から栄冠をつかむ選手が現れるのか、注目されるところだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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