「心中できる」―ドラフト候補の東北福祉大・津森に大塚監督が寄せる絶大な信頼

東北福祉大・津森宥紀【写真:高橋昌江】
東北福祉大・津森宥紀【写真:高橋昌江】

オープン戦の石巻専修大戦に登板「6割くらいしか完成していない感じ」

 今秋のドラフト候補の東北福祉大・津森宥紀投手(4年・和歌山東)が6日、石巻専修大とのオープン戦に先発した。5回を投げ、2安打8奪三振無失点と好投。それでも、津森本人は「もっと投げられると思う」と納得はせず、向上心をのぞかせた。

 右サイドハンドから繰り出すキレと伸びのある球が次々と捕手のミットに吸い込まれた。石巻専修大の打者のバットは空を切る。5回を投げ、許した安打は2本。8つの三振を奪い、ホームは踏ませなかった。特に4回は1死一、三塁で2者連続三振に抑え、ピンチを脱した。

「オープン戦の中では一番、安定していました。ただ、最近ではマシな方ですが、自分の中では6割くらいしか完成していない感じ。全体的にもっと投げられると思うんですよね。制球力も、もうちょい」

 収穫を口にしながらも、納得はしなかった。3月中のオープン戦は「良くなかった」という。投球フォームのバランスが悪いと感じ、4月に入って初登板となったこの日は投球フォームを重視して投げた。仙台六大学リーグの開幕が来週に迫り、「あと1週間なので、状態を上げていきたい」と意気込む。

 東北福祉大では1年春からリーグ戦のマウンドを踏む。これまで6季で34試合に登板し、91回を投げて奪った三振は100個、防御率0.70を誇る。昨年は春先に右手中指を負傷して出遅れ、「みんなに連れて行ってもらった」という大学選手権で全4試合に登板。1試合を完投、3試合でリリーフし、防御率0.00で14年ぶりの優勝に導いた。

 侍ジャパン大学日本代表の候補合宿には1年から参加し、2、3年と日の丸を背負った。様々な経験を積みながら最上級生となり、「去年は4年生の力も借りられたけど、今年は自分が4年生なので後輩を引っ張っていきたい」とエースの自覚を深める。

 元西武の大塚光二監督は「投げる試合は0点に抑えてほしい。津森は手を抜くことをしないから心中できる」と話し、信頼は揺るがない。この日、津森は完成度を「6割くらい」と言った。足りない「4割くらい」は納得のいくボールやピッチングを追求する伸びしろ。昨年の日本一右腕は驕りなく、過去の自分を超えようとしている。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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