元中日・若松が独立LのBC栃木で再出発1勝「また10勝したいんです」
昨季戦力外でNPB復帰目指す 7回3失点もファンに陳謝
「大谷世代」の元10勝右腕が7日、独立リーグデビュー登板を白星で飾った。昨季限りで中日を戦力外になり、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスで今季からプレーする若松駿太投手が、リーグ本拠地開幕の群馬ダイヤモンドペガサス戦(小山運動公園)に先発。7回を5安打3失点にまとめ、再出発の第一歩を刻んだ。チームメートの元阪神の西岡とともにNPB復帰を目指していく。
開口一番、スタンドに向かって陳謝した。試合後のヒーローインタビュー。「1、2、3回と不安な投球をしてしまい、すいませんでした」。NPB経験者として期待の眼差しで見られているのは分かっていただけに、快投を披露したかった。立ち上がりから直球の感覚が全く合わず、ボール先行に。2回に2四死球と単打で無死満塁を招いて中犠飛で先制を許すと、3回には2死二塁から2ランを浴びた。
「マジ、くそだった」というストレートに見切りをつけ、100キロ台を切るカーブと、NPBで数々の強打者のバットに空を切らせたチェンジアップ主体に。「変化球はいつでもストライクとれる」と自負する器用さで、マウンドでの姿は激変。4回からの4イニングは1安打しか許さずゼロ行進。その修正力に、元巨人の寺内崇幸監督も「悪いなりに試合をつくるのはさすが」と称えた。
福岡・祐誠高から2012年にドラフト7位で入団。無名の高卒投手は15年に10勝4敗の成績を残し、翌16年から2年連続で本拠地開幕の先発マウンドを任された。しかし、17年は1勝に留まると、18年は右肩痛の影響もあって1軍登板はなし。まさか2桁勝利した3年後にクビが待っているとは思っていなかった。まだ24歳。幸い、肩肘の状態は悪くない。「また10勝したいんです。今度は勢いだけじゃなく」。独立リーグに新天地を求め、2年ぶりに任されたホームでの開幕投手。福岡から駆けつけた父に対し「こんなピッチングで申し訳ないっすわ」と苦笑した。
チーム内にはNPB出身者の先輩、西岡がいる。プレーや言葉で引っ張る西岡の姿に「剛さんがいるだけで空気が違う」と自身も背筋を正される。試合後には、“元同僚”からうれしいメッセージも。この日は、中日時代に同学年で切磋琢磨してきた柳裕也もヤクルト戦(神宮)で今季初勝利。「お互い頑張ろう!」とLINEでメッセージをもらい、ともに勝利を分かち合った。何より、今でも気にしてくれていることがうれしかった。いつかまた、同じ舞台で戦うため「結果を出していかないといけません。ゼロに抑えていくことです」。貪欲に、泥臭くはい上がってみせる。
(小西亮 / Ryo Konishi)