折れなかった心―ロッテ鈴木、“必然”のサヨナラ打「チームで獲った1勝」
「すごく声をかけてくれて、ありがたみをすごく感じました」
そんな中、昨年4番を務めた一塁・井上晴哉の不調もあって、4日の西武戦では「6番・一塁」として、鈴木がスタメンに名を連ねた。
「(一塁でのスタメンは)今までの自分じゃ考えられないですね」と語る鈴木だが、「それでも試合がすごく楽しいですし、(出場できることは)嬉しいです。今も一生懸命やるだけです」とも明かす。この日のお立ち台で語っていた「今できることを100%毎日やる」を実践し続け、サヨナラ打を呼び込んだ。
「いつか絶対にチャンスは来る。その時に『待ってました!』っていう準備をしておこうと取り組んできました」と、オープン戦から前向きな姿勢を貫き続けた背番号7。お立ち台では「選手、スタッフ、監督コーチもそうですが、すごく声をかけてくれて、ありがたみをすごく感じましたし、本当にファンの方の声援も感じたので、それもあって心は折れなかったです。まずはこういう目に見える形で、チームに貢献できてすごく嬉しいです」と周囲の支えを力に変え、それを結果として出せたことを喜んだ。
鈴木に始まり、鈴木に終わったこの一戦。先制適時打とサヨナラ打、2つの適時打を放ち「目に見える形」でチームに貢献した鈴木だが、実はもう一つ「自身のやれること」を遂行できた打席があった。それが9回、同点に追いついた直後、無死一塁で決めた送りバント。実は5日のソフトバンク戦でも同様の場面があった。
延長10回に角中が勝ち越し3ランを放った直後、レアードが左安打で出塁。続く鈴木は送りバントを試みるも捕邪飛となり、走者を進めることができなかった。しかし、今回はしっかり走者を進めることができた。
「福岡で大事なところでミスしてしまったので、その後でああやって決められたことも大きかったです。確かに得点にはつながりませんでしたが、本当にこれからに活きる1打席、犠打でした」
安打を打つだけではない部分で、チームのために仕事ができたこの場面を、納得の表情で振り返った。
「今日は美味しいところを僕が取っただけ。角さんが追いついたのもそうですし、リリーフ陣が抑えたのもそう。チームで獲った1勝だと思っています」
お立ち台では「本当の4番が帰ってきても、試合に出られるように頑張ります!」とアピールしたチームリーダーは、会見を終えると愛用のバット2本を携えて、室内練習場へと歩いていった。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)