西武で3年連続50試合以上登板 サイド左腕が子どもたちに説く「経験」の大切さ
「子どもたちが野球を続けられる環境づくりを」
アカデミーの子どもたちに「緊張しない方法を教えて下さい」と質問されることがあるが、「経験しかない」と伝えている。緊張は絶対にする。それでも、試合を経験することで、打てば自信、抑えれば自信を得られ、緊張もしなくなると考えている。
「アカデミーコーチとして、多くの小学生の前で話をすることがあります。最初は緊張して同じことを何度も言っていたと思います。でも、今は慣れました。何事も経験を積むことが大事だと思います」
アカデミーコーチとして6年目を迎え、今は子どもたちの小さな異変にも気がつくようになり、なるべく声をかけるように心がけている。
「元気がなかったり、やる気がない子どもには『学校でなにかあった?』と聞くようにしています。子どもにとっては、技術よりも大事なことではないかと思っています。『聞いて』といっても聞かなかったり、『止まれ』と言っても止まらない子どももいますが、それには何か原因がある。一概に強く言うことはしません」
野球に興味を持ってくれたのだから、子どもたちには長く続けてもらいたいと願っている。近年、野球人口の減少が叫ばれているが「子どもたちが野球を続けられる環境づくりを」と提言する。
「今は公園もそうですが、野球ができる場所が本当に少ない。だから野球人口も少なくなる。あとは野球部員の丸刈り頭も考えるところですね。我々のころは当たり前だったけど、丸刈りじゃなくても野球はできる。アカデミーの生徒に『入ったチームが丸刈りにしなきゃいけなかったらどうする?』と聞くと『丸刈りじゃないチームを探す』という答えが返ってくるんです。みんな野球はやりたいと思っているんですよ」
アカデミーの子どもたちが、チームに入ったと聞くのが一番嬉しいと頬を緩める。少しでも多くの子どもたちに野球を続けてもらうため、星野さんは子どもたちとコミュニケーションを図る毎日を送っている。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)