「今のままでは結果は出ない」ヤクルト村上、2人の名コーチが語る越えるべき壁
横浜で2000安打達成 広島では打撃コーチで連覇貢献した石井琢朗コーチも指導
強打者の代名詞とも言える左打ちの長距離砲。ヤクルトに出現した若者に大きな可能性を感じる。村上宗隆。生粋の九州男児は天下を獲るため都でバットを振る。
昨年、2軍では17本塁打、70打点と飛び抜けた成績を残し1軍に合流。9月16日の広島戦で初打席初本塁打。今年は開幕から三塁のレギュラーとして試合に出場している。打率こそ低いものの、長打も出ており、ファン人気も日増しに高まっている。高卒2年目としては順調な滑り出しだ。このままチームの看板選手としての期待も大きい。
しかし、現状、高卒2年目の19歳に対しての周囲の評価、扱い方はまったく異なっている。
今はすべてを破壊して強い幹を作りあげている。
「プロの打者として今は何も言えることはない。このままでは、行き当たりばったり、の打者になってしまう」
そう語ってくれたのはヤクルト・石井琢朗打撃コーチ。2000安打を達成しているバットマンは、現状の村上に対して厳しい評価を下している。
「間違いなく良いものがあって一流になれる素材。プロ入りしても2軍で結果も出した。だからこそプロ、1軍で長くやるための本当の土台が必要になる。打撃コーチとして、今のままでは大きな結果は出ないと感じる。それだけ1軍と2軍は違う世界です」
プロ1年目は秋のフェニックスリーグで10本塁打、台湾ウインターリーグで4本塁打。1軍ではないといえ、一年を通じてコンスタントに打ち続けた。
「(フェニックスリーグの)宮崎や台湾で打ったことが、今のままでもプロでやっていける、という自信になってしまうと、1軍でちょっと結果が出なければ迷ってしまうことがある」
「1軍でコンスタントに結果を出し続けることが大事。そのための太くて強い幹を作り上げたい。今はそれをやり始めた段階。そのために今までのものを壊そうとしている。打撃フォーム、メンタルなどすべて。しっかりとしたブレない幹ができあがれば、そこからのマイナーチェンジはいくらでもできる」
破壊なくして創造はない。石井コーチは現状ではなく、更に何段も高いレベルの選手になれると信じている。だからこそあえて「壊す」という言葉を使っている。