西武永江、2年ぶりスタメンで気迫ヘッスラ「人生で初めて」
2回1死一、三塁のニゴロで一塁へヘッドスライディング→敵失を誘って同点呼び込む
■西武 11-3 オリックス(14日・メットライフ)
西武・永江恭平内野手が14日のオリックス戦(メットライフドーム)で2年ぶりのスタメン出場。3打数無安打だったが、気迫のヘッドスライディングで同点劇を演出して存在感をアピールした。
前日の試合で右手首に死球を受けた源田壮亮内野手に代わって、「9番・遊撃」でスタメン出場した。1点を追いかける2回、1死一、三塁と同点のチャンスで打席に立ったが二ゴロ。「1点を取られていたし、1点だけでも返したかった」と一塁ベースに身体ごと飛び込んだ。気迫のヘッドスライディングに敵失が絡む。その間に三塁走者の栗山が生還し、同点に追いついた。
源田の負傷を受け、試合当日の朝にスタメンを言い渡された。試合前の声出しも任されると、ブラックホールの画像が初めて撮影されたという時事ネタを引用し「ここにもう一つのブラックホールを作って、松葉さんやオリックスを飲み込みましょう!」とナインを鼓舞。スタメンで出場する選手が投げ入れるサインボールには、源田と連名でサインを入れた。「“ゲンさん、書きましょう”と言って、2人で書きました。取った人はラッキーですね」と笑った。
源田から「頼むぞ」と言われ、勢いよくグラウンドに飛び出していった。「緊張しました。いっぱいいっぱいだった」と振り返るが、自身の代名詞だという華麗な守備は健在。軽快な動きを見せたが、「取ったからにはアウトにしないと」と許した2つの内野安打を悔やんだ。
入団時から堅守が売りだったが、なかなかレギュラーに定着することはできなかった。源田が入団すると、それまで空席だったショートのレギュラーをあっという間に奪われた。それ以来、1軍で遊撃を守ったことは一度もなかった。昨年は打撃不振やケガも重なり、出場は自己最少の4試合のみ。永江は「自分の管理不足。防げたケガもあった」と反省する。昨オフの契約更改では「契約して貰えただけありがたい」と話し、自分の立場は理解しているつもりだ。
試合後、自身の両腕に目をやると、ヘッドスライディングをした際に無数の擦り傷ができていたことに気が付いた。「ヘッスラなんて、人生で初めてしました。自分でもびっくり」。無我夢中のプレーが呼び込んだ貴重な1勝だ。「チームが勝ってよかった。勝たないと、楽しくないですから」と話す永江の表情に、充実感がみなぎっていた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)