【豊田清の目】開幕3連敗→3連勝…菊池移籍で不安の西武投手陣に見えた光と課題

西武のザック・ニール、本田圭佑、武隈祥太(左から)【写真:荒川祐史】
西武のザック・ニール、本田圭佑、武隈祥太(左から)【写真:荒川祐史】

本田の課題も指摘「走者を出して、初球を外国人選手にホームラン…」

 そして、プロ初勝利をマークした本田。登板後は登録抹消となったが、17日の楽天戦(楽天生命)で先発することが有力となっている。期待のかかる一戦だ。

「本田投手のことは、昨年までファームの試合で見ていました。ストレートもスピン効いていて、カーブで緩急をつけられる。チェンジアップも“ストン”と落ちる。きちんとゲームメークをしている印象を持っていたので、相手のチームながら、いい投手だな、と思っていました」

 本田は過去の先発で早い段階で降板することが多かった。場慣れしていない中で、マウンドに上がると舞い上がってしまうケースも多い。ただ、今回は相手の先発がプロ初登板のロッテ・小島。本田の方に分があったように見えた。

「いきなりロッテの1番・岡選手に、外狙いが真ん中に入ってきて、ファウルを打たれました。『これは危ない……』と思いましたけど、最後、決めにいった球がアウトコースに“バチッ”と決まりました。見逃し三振。これで“変わるかな”という1球でした。プロで1勝をするのは大変ですが、してしまえば、気持ちもリフレッシュできますし、これまでなかなか勝てなかった自分から変わることができます」

 ただ、課題もある。豊田氏は本田の投球で2か所、ポイントを見い出した。

「8-0のリードから5回にバルガス選手の2ラン、7回にレアード選手の2ランで失点しています。得点差を縮められ、焦ったと思いますが、走者を出して、初球を外国人選手にホームラン…それを繰り返しました。様子を見るのは当たり前のことですし、普段ならば、それができる投手です。また、カットボールを覚えたのはよかったですが、多投しないこと、頼りすぎないことです。精度がよくなると、そればかりを頼ってしまい、元々持っているいいスピンの効いたストレートを失ってしまうかもしれません。1軍で勝っていくために、そういう要所、ポイントを覚えていけば、先発の3本に入らなくても、5番目、6番目としては期待できるのではないでしょうか」

 開幕前に新人の松本や榎田が離脱するなど、苦しい戦いを予想されたが、ここまで五分。3カード目以降で、多和田、今井、高橋光にも白星が付いた。

「ソフトバンクを走らせてはいけないという思いから、敗れはしましたが頭3枚に多和田、今井、高橋の3投手を起用したのだと思います。この3人がしっかりとまわれば、いい位置が期待できると思います。開幕前、西武ローテは不安視されましたが、どこのチームだって先発投手6人が揃うことはなかなかありません。ただ、連敗した時、誰がそれを止めるのか。多和田投手を筆頭に、そういう存在がどの投手になるのか大事になってきます。それを止めてくれる心強い打線があるので、投手陣の踏ん張りが上位進出のカギになると思います」

 プロフィール 

豊田清(とよだ・きよし)1971年2月2日、三重県亀山市出身。48歳。鈴鹿高、同朋大から92年西武にドラフト3位で入団。2000年まで先発、2001年からは抑えで活躍。02年、03年は最優秀救援投手。04年は日本シリーズで胴上げ投手となった。05年オフに巨人へFA移籍し、抑え、中継ぎで活躍。09年は46登板で防御率1.99を記録し、チームの日本一に大きく貢献。11年に広島に移籍し、現役引退。12年から昨年まで巨人のコーチとして多くの救援陣を指導し、1軍のマウンドに送り出した。プロ19年で通算66勝50敗157セーブ。今季からは文化放送ライオンズナイター、テレビ埼玉などで野球解説者。その他、野球教室や講演など、野球振興に携わる。

インスタグラムは@kiyoshitoyoda20

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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