「練習すれば誰もお前に勝てなくなる」―今年もパの“キング”、西武山川に響いた言葉

2017年は「なんで打ちに来たんや?」に「ダイエットがてら」

 上本氏の言葉が、1軍の座をつかみかけていた山川の胸にストンと響いた。それから2年近くほぼ毎日、試合後の打ち込みを欠かしたことはない。

 上本氏は当時を振り返って言う。

「2017年に代打ホームランを打った後も来ていたので、『なんで打ちに来たんや?』と声をかけたら、『ダイエットがてら』と言われた。でも、そんなのは恥ずかしがっているだけだったと思う」

 さらに上本氏は、「最初からやる気はあったと思いますよ。自分で思って行動していたことが、たまたまそういうきっかけで、多少心に響いたところはあるかもしれない。だけど行動に移すのは彼なので」と山川の強打者としての目覚めを感じ取っていたという。そのやりとりがあった2017年、夏から4番に座った山川はその後も大暴れ。チームの躍進に貢献し、翌年にはパ・リーグMVPに輝くなど球界を代表する選手にまで上り詰めた。

 上本氏は「ただ単に、うまくなりたい。だから練習をしていた」と話す。山川は「練習をすれば打てる。だから、今年も練習をする」と話す。練習を重ねた自信と結果こそが、山川を“王”たらしめている。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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