燕エース・小川が8回1失点の好投も…広島・床田との投手戦にあった1球の重み

ヤクルト・小川泰弘【写真:荒川祐史】
ヤクルト・小川泰弘【写真:荒川祐史】

得点圏に背負った時は三振で切り抜ける 田畑投手コーチ「(失投は)1球だけだった」

■広島 2-0 ヤクルト(27日・神宮)

 今季未勝利のヤクルトのエース・小川が8回1失点の好投を見せたが、3敗目。チームは今季、広島に初黒星となった。田畑投手コーチがねぎらいながら右腕の投球を振り返り、勝負を分けたポイントを挙げた。

「一生懸命、丁寧に投げていたし、悪くなかった。でも1球だけ。1球だけスキを見せてしまった……」

 勝負が決まったのは、6回だった。その「1球」は長野に浴びた先制二塁打のボールだった。

 小川は初回から低めへ丁寧な投球を続けていた。初回、3番・長野に対しては中村のうまいリードもあり、3球三振に仕留めるなど、好スタート。三塁・太田、一塁・村上の好守備もリズムを与えた。

 一方で広島左腕の床田も内・外角を巧妙に使い分けて、好調のヤクルト打線を封じ込んでいった。試合は投手戦となり、5回までスコアボードには0が並んだ。

 その6回。小川は2死まで簡単に取った。続く、2番・菊池の打球は三塁への強いライナー。三塁手・太田が上に飛んで、グラブに当てたが捕球できず。抜けていたら二塁打だったがシングルヒットにとどめた。2死一塁。バッター勝負でいい場面となった。

 しかし、長野への初球だった。直球を右中間に運ばれた。フェンス直撃の先制二塁打。田畑コーチは「相手の床田は(初球の入りを)ボール球をうまく使ったりしていた。投手戦はこういうスキを見せてしまってはいけない」と長野に対して、もう少し警戒する必要があったのではと振り返った。

 ただ、小川は得点圏に走者を背負えば、ギアを上げて、三振にきってとるなど、最後までボールに力があった。7回2死、この試合、最後の対戦打者となった野間から見逃し三振を奪ったボールも外角低めに決まる見事なストレートだった。打線の援護もなかったため、エース右腕だけを攻めることはできない。勝ち星は運や巡り合わせもある。このような投球を続けていけば、白星が付く日は必ずやってくる。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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