「給料支払われた?」が挨拶代わり…元DeNA久保康友、過酷な環境で奮闘中

3試合計46失点でチーム内口論も、一部給料未払い続き合言葉は「給料支払われた?」

 レオンは気候が乾燥しているため湿気のないボールは操りにくく、気圧が低いため変化球が落ちにくく、打球が飛び、さらに球場が狭いため、投手にとっては四重苦の球場。この日は「今までの登板で一番空気が乾燥していてボールが扱いにくい」と話し、試合前のブルペンでもカーブの制球に苦戦していたが、それでもスプリットを駆使し、9三振を奪った。

「低地では外野の定位置へのフライが、高地では飛距離が伸びるため本塁打になる。守備も、1球ごとのポジショニングや走者を進塁させまいという意識が低く、悪送球も多いので、打ち取った当たりがヒットになるし、単打の当たりが二塁打、三塁打になる。打たせてもアウトが取れないリスクがあるので、確実にアウトを奪うには三振を狙うしかない」

 本来の打たせて取るピッチングではなく、メキシコ仕様の三振を奪うスタイルも定着しつつあり、降板時にはスタンドの2561人のファンから温かい拍手が送られた。

 負ける訳にはいかなかった。チームは前節のレオネス・デ・ユカタン戦で3試合で計46失点。ベンチ裏では野手と捕手が口論になり、試合後には緊急ミーティングが行われるなど、重苦しい雰囲気に包まれていた。この日の試合を終え、チーム防御率は南北計16チーム中、最下位の8.09。一方、チーム打率は同3位の.318。元メジャーの主軸2人を含む3人のレギュラー陣を負傷で欠いており、打高投低と言われるメキシカンリーグの中でもさらに打高投低なチーム状況をなんとか改善したい思いがあった。

 給料未払い問題も、選手の士気を落としていた。チームでは、未払いだった選手への1度目の給料が1週間遅れで支払われたが、一部スタッフに対しては未だに3月支払い分が滞ったまま。今週初めに予定されていた選手への給料2度目の支払いも未だ行われておらず、チーム内では「給料支払われた?」が挨拶代わりの言葉になるなど、球団に対する不信感が日に日に高まっていただけに、元DeNAのギジェルモ・モスコーソ投手が先発した前日3日に続く連勝で、チームにようやく明るさが戻った。

 これで久保は通算成績は7試合2勝2敗、防御率4.50。投球回42イニング、49奪三振はともにリーグトップを保っており、奪三振は2位の投手に14個の差をつける独走ぶりだ。次回先発は10日に敵地で行われるサラペロス・デ・サルティージョ戦。ここ4試合、先発した試合で勝ち星から見放されているだけに、そろそろ白星が欲しいところだ。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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