中日元ドラ1野本圭の今 スカウト転身、抱く情熱と覚悟「人の人生を左右する」

現役時代は山本昌、岩瀬仁紀、立浪和義ら錚々たる顔ぶれと共にプレーした

 野本スカウトは現役時代、山本昌、岩瀬仁紀、立浪和義、谷繁元信、和田一浩、小笠原道大、荒木雅博など錚々たる名球会選手と共に戦った。彼らの背中から学んだことは今、スカウト活動に生きている。

 中国四国地区の上位候補選手には、創志学園の西純也とJFE西日本の河野竜生の投手2人が挙がる。ただ、他にも野本スカウトならではの視点で注目している選手がいるという。

「僕はピッチャーなら左の変則が気になります。現役時代に困りましたから」と笑う。

 クロスステップから独特のスライダーを操る投手がいるそうだ。

「打者なら内角を捌ける選手。体がクルっと回れるかどうか。そこは天性。特にバッティングカウントでインコースを引っ張って大きなファウルが打てるといいですね。まだ、多少詰まりますが、体がうまく回転する選手はいます」

 スカウトの集大成は秋のドラフト会議だ。

「楽しみです。たとえ、他球団に入っても、注目してきた選手は見続けたいです。自分の目が正しいかどうかの判断材料になりますから」

 スカウトという仕事に就いて、改めて思うことがある。

「この仕事は人の人生を左右する。だから、色んな角度から何度も見ないと。中途半端な報告は絶対にできない」

 着るものはユニフォームからスーツに変わった。持つものはバットからパソコンに変わった。しかし、変わらないものもある。彼の情熱だ。すり減った靴底がそれを物語る。野本スカウトは今日も東奔西走している。高い「志」を持って。

(CBCアナウンサー 若狭敬一/ Keiichi Wakasa)
<プロフィール>
1975年9月1日岡山県倉敷市生まれ。1998年3月、名古屋大学経済学部卒業。同年4月、中部日本放送株式会社(現・株式会社CBCテレビ)にアナウンサーとして入社。テレビの情報番組の司会やレポーターを担当。また、ラジオの音楽番組のパーソナリティーとして1500組のアーティストにインタビュー。2004年、JNN系アノンシスト賞ラジオフリートーク部門優秀賞。2005年、2015年、同テレビフリートーク部門優秀賞受賞。2006年からはプロ野球の実況中継を担当。現在の担当番組は、テレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜12時54分~)「High FIVE!!」(毎週土曜17時00分~)、ラジオ「若狭敬一のスポ音」(毎週土曜12時20分~)「ドラ魂キング」(毎週金曜16時~)など。著書「サンドラのドラゴンズ論」(中日新聞社)。

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