日本航空石川、1回戦敗退もエース重吉は好投 夏は星稜撃破へ「勝たないと」
3回から登板し6回4安打無失点、夏は「奥川君個人を見るのではなくて…」
第140回春季北信越地区高等学校野球大会の1回戦が1日、高岡西部総合公園野球場で行われ、ともに強力打線が持ち味の敦賀気比-日本航空石川の強豪同士の対戦は1-0で敦賀気比が制した。
互いの投手が持ち味を発揮し、敦賀気比が初回に4番の木下元秀(3年)の適時打で先制。その1点をそのまま守り切った。日本航空石川の注目の148キロ右腕・重吉翼(3年)は3回から登板し、スプリット、チェンジアップなどを中心に丁寧なピッチングを見せ6回を4安打無失点と好投したが、味方の援護がないままゲームセットとなった。
強力打線を誇る日本航空石川打線がわずか4安打。中村隆監督は「技術不足です。甘いボールを仕留められなかった。夏までには何とかしないと……」と無念の表情を浮かべた。先発の前田響(3年)を先発マウンドに送り出したが、リズムをなかなか掴みきれず、3回からエース重吉に交代。当初は中盤以降に継投を考えていたが、予想外の早い継投となった。
「先発の前田が行けるところまでいって、自分は中盤くらいに(投げることに)なるかな……と。でも、初回から肩を作って準備はしていました」と重吉。両校は昨年の10月に練習試合をし、重吉は先発マウンドに立っていた。その時はストレートで押し、内角をうまく攻めるピッチングで相手打者を翻弄したが、この日は「その時(敦賀気比打線は)内角をあまり打てていなかった覚えがあって、今日も内を攻めようとしたらしっかり対策していました。今日はストレートより変化球をうまく使っていこうと思いました」と、スプリット、チェンジアップ、そして最速143キロのストレートのコンビネーションが有効で、相手に連打を許さなかった。
1年秋から主戦としてマウンドに立ち、当時は同じ石川県内のライバルでもある星稜の奥川恭伸と双璧にされるほど、重吉の評価も高かった。だが、昨春以降、重吉は調子を落とし、右肘を痛めた影響で実戦からしばらく遠ざかった。その間、ライバルはどんどん成長していき、今では全国クラスの右腕に。1年時から奥川は常に意識する相手だったが、今では「奥川君がすごくなりすぎて、もう自分が意識するのは……」と苦笑いを浮かべる。
ただ、夏の甲子園を目指すには避けては通れないライバルだ。「夏は星稜に勝たないと甲子園にいけない。奥川君個人を見るのではなくて、星稜を倒すことだけを考えていきたい」と決意を示した。
(沢井史 / Fumi Sawai)