「奥川さんがいなくても…」 常勝・星稜、チームを支える投手力とは

エース奥川が右肩の張りで一時離脱も安土慶、寺沢、荻原、寺西…悲願の夏制覇へ強力な豊富な投手陣

 荻原は北信越大会でも東海大諏訪戦で7回途中まで3安打2失点とまずまずのピッチングを見せた。186センチと恵まれた体格で、荻原以上に期待値の高い寺西も、準決勝の富山第一戦で7回2失点と好投。2人の口から出た言葉は、やはり「奥川さんがいなくても、自分たちで勝ち切りたかった」。秋に比べると試合を作れるようになり、結果には結びついたが、現状には満足はしていない。荻原は、昨秋から7回に失点をするケースが続き「もっと強気に攻められないと」と厳しい表情を見せ、向上心をにじませた。

 そんなチームメイトの表情を見た奥川が決勝戦でのピッチングで応えた。決して調子が良かったとは言えないが、中盤以降はストレートで押し、相手を圧倒した。奥川は「県大会もそうですが、自分じゃないピッチャーがいいピッチングをしていたので、自分もそれ以上のピッチングをしないといけないと思いました。本当はゼロに抑えたかったけれど、勝てて良かったです」とホッとした表情を見せた。

 北信越大会では慣れない人工芝とはいえ、守備のミスもあった。攻撃陣の爆発力や、連携プレーの再確認など課題はまだある。そこを詰めるための夏までの時間は限られているが、連覇の中で自分たちの欠点を浮き彫りにさせた大会でもあった。「(連覇で)喜ぶのは今日だけ。明日からは夏に向けて切り替えていかないと」と試合直後に山下智将監督代行は言った。全員がその“現状”を胸に刻み、どう前を向いていくか。もう、夏の大会はすぐそこまで来ている。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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