メキシカンLの元DeNA久保康友、2日寝たきり→復帰当日に救援登板「冗談かと」
登場曲をドラマ「家なき子」の主題歌に変更、その理由は…
ニンジン作戦も選手たちの士気を高めていた。球団オーナーはチームが前半戦をプレーオフ出場圏内となる4位以内で折り返した場合、半月分のボーナスを支給することを伝えていた。試合前にはGMがミーティングを開き「勝って4位でオールスター休みに入ろう」とゲキを飛ばすなど、チームとして勝利への意欲はいつも以上に高かった。久保の降板直後には球場の照明の一部が落ち、試合が中断。今季2度目の出来事に球場はざわついたが、約5分後に試合は再開し、レオンがそのまま逃げ切った。
登場曲を変えた。久保は「ファンの人たちが楽しめるように」と、開幕以降、メキシコで人気の名曲「ラ・バンバ」を使っていたが、6月に入り、94年にヒットしたドラマ「家なき子」の主題歌だった中島みゆきの「空と君のあいだに」に変更。
その訳は、開幕から2か月以上が経過した今も、久保が住んでいる物件の契約に必要な書類をチームが用意しておらず、家賃の支払いも滞っていたことから。大家から催促のために弁護士を立てる旨を通告されており、エレベーターに乗るためのカードの使用も2度、停止させられたため「大家からいつ追い出されてもおかしくない状況が続いていて、今の自分に一番ぴったりな曲だから」。
選手への給与未払い問題についても、6月に入り、ようやく数日遅れで振り込みが行われるようになったが、スタッフの一部はいまだに5月分の給料を受け取っていない状況だ。そんな中でのニンジン作戦だっただけに、試合後のロッカールームは、プレーオフ進出を決めたかのような盛り上がりだった。
久保の次回登板は、16日(同17日)にメキシコシティで行われるオールスターとなる予定。この日、試合前に行われた球宴会見では「日本とはまた球場の雰囲気が違うと思うので、メキシコのオールスターの雰囲気を楽しみたい」と話した久保。ファンから三振を期待される中でどんな投球を見せるのか、メキシコ中の注目を集めることになりそうだ。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)