選抜準優勝の新鋭・クラーク女子野球部の挑戦 楽天もサポートする新たな境地に迫る
クラークには選抜で女子史上最速125キロをマークした小野寺が在籍
庄司美空主将(2年)も試合を振り返り、「変化球を打つことができなかったし、見逃し三振も多かった」と反省した。選抜大会でも変化球を打てなかったことや初球から積極的にバットを出せなかったことは課題になった。「(レイアは)甘い球は振りに行っていたし、初球からフルスイングができていた。合わせるバッティングがなかったのですごいなと思いました。粘って打つとか、粘って塁に出るというところを真似していきたいです」と庄司主将。プロの打席での姿勢から学んだことを今後に生かしていく。
投手層も課題の1つだ。選抜大会ではエース・小野寺佳奈(2年)がほぼ1人で投げ抜いており、投手陣の充実は日本一に向けて必須事項。石田監督は「ピッチャー交代に悩むくらい成長してくれたら楽しみ」と発破をかける。そんな中、先発・三浦が3回を5安打1失点にまとめた。前日に先発を告げられ、緊張から眠れなかったというが、「投げはじめると緊張が解けて楽しかったです」と、走者を背負いながらも粘投。「もっと打たれて点数を取られると思ったけど、1点に抑えられたのは自信になります」と声を弾ませた。石田監督も「ボールの質はよかったと思います。打たれたのは高めだけ。あとは詰まっていた」と称えた。
4回に2番手・中川音果(2年)が3連打を浴びるなどして5失点。逆転を許したが、5回は反省を生かして無失点で切り抜けた。6回はエース・小野寺がマウンドへ。先頭を四球で歩かせたが、落ち着いた投球でホームは踏ませなかった。選抜大会で高校女子史上最速の125キロをマークした小野寺は「卒業したら女子プロ野球選手になりたいので、いい経験になりました。技術が高いですけど、あと1年半、しっかり練習に取り組めば自分も(プロに)なれるかなと思いました」と夢を膨らませた。4試合に登板した選抜大会以降、投球練習などを控えることもあったが、夏に向けてここから調整していく。「あと1か月で夏の大会。投げるからには130キロを目標にやりたいです」と、さらなるレベルアップを誓った。
4月に新入生14人が加わり、計25人になったクラーク。実戦練習も増え、日々の練習の内容も濃くなっている。対戦したレイア・新原千恵監督は「1、2年生ですよね? 打撃も強かったですし、ピッチャーのコントロールもいい」とスキル面はもちろん、「野球は頭を使うスポーツですが、そこも鍛えられているなと感じました。選手に落とし込まれているし、選手も理解してやっているのが見えたので、すごくいいチーム。本来、私たちがやりたいと思っている野球をやっている感じでした」と感嘆した。
普段から厳しい世界で心身を高めてきた元プロから的確な指導を受けているクラークの選手たち。目指す女子プロ野球チームとの試合で自信を深めたり、刺激を受けたりした様子。悲願の日本一に向け、この交流も今後の糧にしていく。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)