JFE東日本が4強1番乗り 元DeNA須田が全3試合で勝利投手「腕がもげるまで」
7回途中から2回2/3を投げて無失点の好救援
JFE東日本が準決勝進出を決めた。JFE東日本は1-1の同点で迎えた7回に4番・平山快の右中間への適時二塁打で2点を勝ち越した。投げては3番手でマウンドに上がった元DeNAの須田が7回途中から2回2/3を無失点で投げ切りチームの4強入りに大きく貢献した。パナソニックは7回の好機を生かせなかった。
7回に田中の適時二塁打で同点とされ、なおも1死満塁と絶体絶命の場面で背番号20がJFE東日本のベンチから飛び出してくる。スタンドが歓声で大きく揺れる。20日の明治安田生命戦で2点ビハインドの9回に登板し、3者凡退で流れを呼び込み、その裏のサヨナラ満塁弾を演出していた須田が、この日も球場の空気を一変してみせた。
代打・深瀬に対しアウトローぎりぎりを突くストレートで見逃しを奪うと「(その1球で)勝ったと思った」と大胆に攻めた。追い込んでから外角の146キロ直球で空振り三振に打ち取ると、続く横田にも直球勝負。1ボールから141キロ直球で中飛に打ち取り、相手打線に追加点を与えず完璧な救援劇を演じた。2死を奪うのに投じた6球は全て直球。須田は「サイン通りです。一番打たれないボールだし、プロでもこれでやってきた。自信がある」と胸を張った。
須田が好救援でパナソニックの流れを断ち切り、ベンチに戻ると、誰かがこうつぶやいた。「球場の雰囲気が変わった」。勝ち越しの予感は的中。直後に7回1死二塁のチャンスで2番・今川がこの日3本目のヒットとなる三塁内野安打で繋ぐと、4番・平山快の右中間を破る二塁打が飛び出し2点勝ち越しに成功。須田はそのまま9回まで相手に流れを渡すことなく投げ切り、チームを7年ぶりの4強に導いた。
ここまで3試合全てに登板し、その全てで勝利投手になっている須田は「たまたまです。白星が欲しくて投げているわけじゃないですし、チームが勝てばいい」とあっけらかんと話す。一呼吸おいて、「プロだったら白星が欲しいかな」と笑ったが、今一番欲しいものはもちろん、栄光にはためく黒獅子旗だ。
「腕がもげるまで投げます。それができるのが社会人野球ですから」と言い切った須田。日本一までその腕を振るい続ける覚悟はもうできている。
(安藤かなみ / Kanami Ando)