東芝、準決勝進出! エース岡野5回1失点粘投「明日は宮川がやってくれます」
JFE西日本を相手に5回7安打1失点「カットボール中心に交わす投球ができた」
東芝が大勝で準決勝進出を決めた。東芝は2回、ドラフト上位候補のJFE西日本先発・河野から村上の2ランなどで3点を奪い先制に成功すると、5回には3番手の谷中に2死から集中打を浴びせ、さらに6点を追加。終わってみれば10点と大量得点でJFE西日本を圧倒した。敗れたJFE西日本は10安打を放ちながらも1得点のみと打線が繋がらなかった。
エース・岡野が5回まで7安打を浴びながらも1失点と粘投した。初戦は直球主体の投球で1失点完投勝利を挙げているが、この日は「直球の調子はあまりよくなかった」と変化球を効果的に織り交ぜながら相手打線を翻弄した。3回に2死一、二塁で4番・橋本を迎えると、フルカウントから「相手が考えていないボールだったと思う」と最後はインコースへのカットボールを選択。見逃し三振を奪いピンチを脱した。「ストレートを見せ球に、カットボール中心に交わす投球ができた」と味方の援護にも守られながら試合を作った岡野。この日は点差も大きく開いたため「(監督に)明日、明後日に控えてくれと言われた」と5回で降板し、ベンチからチームに声援を送った。
“後輩のため”になんとしても勝ちたい試合だった。今季の東芝を支える先発2枚看板が岡野と3回戦に先発した2年目の宮川だ。試合前、宮川に「明日(準決勝)、投げさせてください」と声をかけられたという岡野。「(宮川は)前回登板に納得がいっていないみたいです。ブルペンでコツをつかんだと言っていました」とリベンジを熱望する後輩に最高の舞台をプレゼントした。岡野は「すごい投手と一緒に練習できていると思います。ブルペンに入っても、お互いに意見を言い合うこともある。いい相乗効果になっている」と宮川の実力を認めている。岡野が宮川と切磋琢磨する中で特に手応えを感じたのは直球の強化だ。「宮川はキャッチボールから(ボールを)叩く意識を持っていて、低い弾道で投げてくる」と練習の中でヒントを得た岡野は、キャッチボールの種類を増やし直球の強化に取り組んできた。その成果もあり、四国大会では最速149キロを記録。自信を深め、この都市対抗に乗り込んできた。
昨年のドラフトで指名漏れを経験した岡野だが、「ドラフトが終わってからチームのみんながとても温かかった」と周囲の気遣いに感謝する。「あしたは宮川がやってくれます」と話した岡野の言葉には、強い信頼感がにじんでいた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)