元DeNA戦士のトヨタ・細山田とJFE東日本・須田 都市対抗決勝前夜に交わした約束

JFE東日本・須田幸太とトヨタ自動車・細山田武史の対決が実現した【写真:荒川祐史】
JFE東日本・須田幸太とトヨタ自動車・細山田武史の対決が実現した【写真:荒川祐史】

細山田は3回に一時は同点の本塁打 試合は盟友・須田に封じられ準優勝

 第90回都市対抗野球大会はJFE東日本の初優勝で幕を閉じた。敗れた元DeNAでトヨタ自動車の細山田武史捕手の目には涙が浮かんでいた。3回には一時同点となる貴重な本塁打を左翼席に放ったが、投手陣をリードできなかった悔しさがこみ上げた。「僕の役割は投手の良さを引き出して、失点を抑えること。それができなかった」と振り返った。

 試合後のグラウンド。三塁側にいた細山田は一塁側に視線を向けた。橋戸賞を獲得したJFE東日本の須田幸太投手が優勝を喜んでいた。須田とは同い年で、早大、DeNAで一緒にプレーをしていた仲だ。

「昨日、連絡が来て『勝つなよ~』とか『楽しみだね』って。一緒に社会人野球を盛り上げて、話題をかっさらおう!と言った。須田が優勝して(松本)啓二朗も(かずさマジックから)補強で(JFE東日本に)いて……負けて悔しいけど、うれしかったです。僕はプロでなかなか活躍できませんでしたけど、こうして社会人でみんな切磋琢磨していけば、面白くなると思う」

 8回二死では須田との対戦も実現した。打席に入る前には目が合い、ニヤリと笑った。「インコースに詰まりました。外投げろと言ったのに…」遊ゴロに倒れた。「紅白戦とかで対戦しても打てなかったですから」と球の力強さを感じた。

 取材を終えると、細山田は視線の先にいた“話題をかっさらった”須田のもとに走って行き、健闘をたたえ合った。これも社会人野球の魅力のひとつ。プロのユニホームを脱いでも、2人の関係は変わらない。かつてのベイ戦士たちの対戦に胸を踊らせた野球ファンもいただろう。まだまだ続くこの2人のストーリーを見たいと思った人も生まれたはず。社会人野球を盛り上げたいという熱い思いを持ち続け、また野球に打ち込んでいく。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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