体のケア、自己管理…初優勝のJFE東日本・元DeNA須田がプロから持ち帰ったもの

トヨタ自動車戦に4番手で登板したJFE東日本・須田幸太【写真:荒川祐史】
トヨタ自動車戦に4番手で登板したJFE東日本・須田幸太【写真:荒川祐史】

初戦から5連投の熱投 橋戸賞は「2月から獲ると決めていた」

 第90回都市対抗野球大会の決勝が25日、東京ドームで行われ、JFE東日本(千葉市)がトヨタ自動車(豊田市)を6-4で破り、初優勝を飾った。JFE東日本の4番手で登板した元DeNA・須田幸太投手が2回1/3を無失点で試合を締めた。初戦の2回戦から5連投で最優秀選手賞にあたる橋戸賞を受賞。初優勝のために、須田がもたらしたものは大きかった。

 9回のマウンド。東京ドームの2階席までJFE東日本の応援団で埋め尽くされたスタンドをぐるりと一周見渡した。「めっちゃお客さん入ってるな」と落ち着いていた。チームを後押しする大歓声に包まれながら、追いすがるトヨタ打線を3者三振に打ち取ると、両手を高く突き上げ吠えた。10年前の第80回大会にはホンダの補強選手として9回のマウンドに立ち日本一を経験していたが、自軍・JFE東日本のユニフォームを着ての頂点は初めてだ。

 古巣・JFE東日本に復帰した須田は、若手選手のよき手本でもある。落合監督は「野球に対する意識やプロでやってきたこと、社会人とは違った野球を須田自身が私生活から示してくれている。身体のケアや意識、調整の仕方だったり、自己管理を選手自身がやってくれている」とその影響力を語っていた。チーム一丸となっての初優勝。マウンド以外でも須田の貢献度は大きかった。

 須田は今大会で5試合全てに登板し、そのうち4試合で勝利投手になった。チームを窮地から何度も救い上げる魂の投球で、3度の逆転サヨナラ勝ちを呼び込んだ。5試合を通じ、14イニング177球を投げ抜いた須田は「今すぐ寝たいっす」とややお疲れ気味。それでも橋戸賞のブロンズトロフィーをしっかりと抱きかかえ、「2月から橋戸賞を獲ると決めていた。この大会は強気で行きました」と胸を張った。「僕は短期決戦が大好きというか得意なんです。その状態で、今プロに戻って『1年間戦えるか』と言えば、戦えないと思います。このトーナメントで自分の力がしっかり発揮できた」と激闘を振り返った。

 チームにはプロ入りを志望している選手も多く、須田は自身の経験も踏まえてアドバイスをすることもあるという。「今の若い子たちには(JFE東日本から)プロに行ってもらって、伝統を作ってほしい気持ちはあります」と話したが、「僕はプロなんてどうでもいい」ときっぱり。最後は「サラリーマンに戻ります」と話し、球場を後にした。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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