「簡単に不安なんてなくならない」―中日小笠原が364日ぶり1軍で見せた“進化”

「そんな簡単に不安なんてなくなりませんよ」

 2018年7月28日に東京ドームで巨人・菅野智之投手と投げ合って完封して以来、遠ざかっている勝利の味。昨秋、遊離軟骨の除去手術を受けた左肘は順調に回復したが、もともと不安のあった左肩に今季は悩まされてきた。快方に向かってプルペン入りにこぎつけたかと思えば、ぶり返して投球を控えるという一進一退の繰り返しだった。

「そんな簡単に不安なんてなくなりませんよ」

 状況を問う周囲に、そう語気を強めるほど精神的に苦しい時期もあった。16年にドラフト1位で入団し、将来のエース候補として期待されながら3年間で通算12勝。大幅に出遅れた4年目に危機感を募らせない方がウソだった。地の底を這うような気持ちに耐えながら、憧れの存在でもある松坂大輔投手から助言も受け、焦りを捨ててリハビリに励んできた日々。364日ぶりに踏みしめた1軍マウンドで、時折笑みがのぞく場面もあった。

 この1年は決して停滞ではない。まずは代名詞の直球で、4年目の“進化”を見せた。神奈川県藤沢市出身の小笠原にとって、慣れ親しんだ“地元”ハマスタで踏み出した再出発。中日の未来を背負う21歳の背番号11が、次こそ勝利をもぎとってみせる。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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