八戸学院光星・沢波、直球を読み切って決勝2点打…データで楽しむ夏の甲子園【7日目・第3、4試合】
打撃スタイルは好対照 積極スイングの高岡商が、じっくり型の神村学園を破る
○高岡商 4-3 神村学園
【高岡商】
打率 .345 OPS .823 wOBA .357
O-swing% 48.5% Z-swing% 76.1% Swing% 59.8%
O-contact% 50.0% Z-contact% 91.4% Contact% 71.6%
Zone% 41.1% SwStr% 17.0%
【神村学園】
打率 .206 OPS .456 wOBA .242
O-swing% 18.4% Z-swing% 69.6% Swing% 48.3%
O-contact% 88.9% Z-contact% 95.8% Contact% 94.7%
Zone% 58.5% SwStr% 2.5%
高岡商・荒井大地投手の指標
9回 打者数37 投球数118
WHIP 1.00 P/IP 13.11 GB/FB 0.88
ストレート60.0% カーブ 22.6% スライダー 17.4%
Zone% 58.5% 空振り率 2.5%
神村学園・田中瞬太朗投手の指標
7回 打者数29 投球数103
WHIP 1.57 P/IP 14.71 GB/FB 0.91
ストレート31.1% スライダー 36.9% チェンジアップ18.4% カーブ11.7%
Zone% 38.8% 空振り率 18.4%
終わってみれば1点差の好ゲームでしたが、打撃指標で両チームを比較すると大きな差が生じていました。バッティングのタイプも両極端で、高岡商はO-swing%48.5%、空振り率17.0%とかなりストライクゾーンを広めに取って積極的にスイングしていくスタイル。一方、神村学園は6回まではO-swing%12.0%、Contact%100%と球をじっくり見極め、打てるボールを確実に捉えるスタイルで応戦していました。
高岡商の荒井投手はストレート主体の投球で、空振り率は少ないものの打たせて取るスタイルで完投しました。
守備陣も好プレーで荒井投手をバックアップしました。9回裏2死、神村学園・松尾将太選手がフライを打ち上げて誰もが試合終了と思った瞬間、二塁手がまさかの落球。これまで支えてきた守備陣のミスで一転してピンチに陥ります。1点差に迫られ、迎える打者は森口修矢選手。荒井投手の投じた118球目、127キロのストレートを打ち返した打球はセカンドの元へ。これを無事に処理して2年連続の3回戦進出を決めました。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。