星稜奥川、最速154キロも空振り5%、強打の履正社…データで楽しむ甲子園【8日目第1、第2試合】
星稜・奥川は6回2死一、二塁のピンチで登板し、2回1/3を無失点
○星稜6-3立命館宇治
攻撃指標
星稜 打率.389 OPS.961 wOBA 0.426
O-swing% 24.4% Z-swing% 68.2% Swing% 42.9% O-contact% 77.3% Z-contact% 91.1% Contact% 86.6% Zone% 42.3% SwStr% 5.3%
立命館宇治 打率.161 OPS.477 wOBA 0.242
O-swing% 20.7% Z-swing% 53.8% Swing% 34.9% O-contact% 55.5% Z-contact% 82.9% Contact% 73.6% Zone% 42.8% SwStr% 9.2%
星稜の投手の各指標
荻原吟哉 5回 打者数18 投球数77
WHIP 0.80 P/IP 15.40 GB/FB 2.33
ストレート35.1% スライダー50.6% フォーク13.0%
Zone% 44.2% 空振り率13.0%
奥川恭伸 2回1/3 打者数10 投球数39
WHIP 1.29 P/IP 16.71 GB/FB 5.00
ストレート66.7% スライダー28.2% チェンジアップ5.1%
Zone% 46.2% 空振り率5.1%
立命館宇治・高木要投手の各指標
9回 打者数46 投球数170
WHIP 2.33 P/IP 18.89 GB/FB 1.00
ストレート51.2% スライダー35.9% チェンジアップ8.8%
Zone% 42.3% 空振り率5.3%
星稜のOPSが.961となったのに対し、立命館宇治は.477と出塁力に大きな差が出ました。5回以外は、全イニングで走者を出した星稜が終始優位に試合を展開していました。
2試合連続で先発完投となった立命館宇治の高木投手ですが、立ち上がりからチェンジアップなどのコントロールが定まらず、初回は1イニング3与四球という苦しいスタートとなりました。変化球でなかなか空振りが取れず、空振り率は5.3%。9回で14安打、7与四死球と星稜打線に大量の出塁を許す形となりました。
星稜先発の荻原投手はスライダーが50%と変化球を中心とした組み立てで、立命館宇治打線をWHIP0.80、空振り率13%としっかり抑え先発としての役目を果たしました。6回裏2死一、二塁という苦しい場面から登板した奥川投手ですが、最初のバッターにヒットは打たれたものの、後続を153キロのストレートでゴロに仕留めピンチを切り抜けました。
8回には自己最速を更新する154キロをマークしましたが、この日の奥川投手は空振り率5.1%と、空振りはそれほど取っていません。ゴロに仕留める投球術で、その後は7回、8回と2イニングを無失点で切り抜け、相手の反撃の芽を摘みました。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。