敦賀気比、今大会1試合最高のOPS1.326…データで楽しむ甲子園【8日目・第3、4試合】
敦賀気比・笠島はストライクゾーンに投げ込み、ゴロに打ち取るスタイル
○敦賀気比 19-3 国学院久我山
攻撃指標
【敦賀気比】
打率.524 OPS1.326 wOBA.571
O-swing% 21.7% Z-swing% 76.3% Swing% 53.1%
O-contact% 66.7% Z-contact% 94.4% Contact% 89.5%
Zone% 57.4% SwStr% 5.6%
【国学院久我山】
打率.265 OPS.695 wOBA.346
O-swing% 24.6% Z-swing% 60.8% Swing% 45.0%
O-contact% 53.3% Z-contact% 95.8% Contact% 85.7%
Zone% 56.4% SwStr% 6.4%
○敦賀気比 投手の各指標
笠島尚樹
6回 打者数25 投球数82
WHIP 1.33 P/IP 13.67 GB/FB 5.33
ストレート69.5% スライダー 22.0%
Zone% 59.8% 空振り率 4.9%
黒田悠斗
2回 打者数9 投球数36
WHIP 1.50 P/IP 18.00 GB/FB 0.20
ストレート58.3% スライダー 25.0 カーブ 11.1%
Zone% 55.6% 空振り率 5.6%
打者のべ54人で22安打、19得点の敦賀気比。OPS1.326は今大会の1試合での数値として最高となりました(5本塁打した履正社の1回戦はOPS1.276)。大量得点差となると、バッティングに粗さが出やすくなりがちですが、O-swing%21.7%、空振り率5.6%と試合終了までしっかりとボールを捉えようとする姿勢は崩していませんでした。なお敦賀気比の3番・杉田選手は5安打でしたが、単打2本、二塁打、三塁打、本塁打1本ずつとサイクルヒットを達成。これは2004年以来15年ぶり、大会史上6人目の記録です。
得点差があったからかもしれませんが、敦賀気比の投手陣はZone%6割とストライクゾーンにすいすいと投げ込んでいく様子が伺えます。特に先発の笠島投手はストレート投球割合7割とストレート主体に投げ込みましたが、空振り率4.9%、GB/FB5.33からもわかるように、ゴロに打ち取っていくスタイルでアウトを重ねていきました。
国学院久我山の打撃指標は平均的な数値ではありましたが、残塁9とチャンスでのバッティングで結果が出ず3得点で試合を終えることになりました。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。