身を粉にして投げ続ける“縁の下の力持ち” パ球団のロングリリーフたち
ソフトバンクの高橋純は4年目で完全覚醒か
◯山崎福也投手(オリックス)
今季成績:31試合2勝3敗1ホールド 47回2/3 34奪三振 防御率4.34
2014年にドラフト1位という高い評価を受けてプロ入りしたが、過去4年間は1軍定着を果たせていなかった。しかし、今季は開幕から7試合連続で無失点と好投を見せ、その高いポテンシャルの開花を感じさせる上々の出だしを見せる。その後も4月末に2軍での再調整こそ経験したが、ここまでロングリリーフとして奮闘。調子の波こそ激しいものの、開幕から登板を重ねて多くのイニングを消化してきた。
今季のオリックスは澤田圭佑投手のケガや増井浩俊投手の不振もあって、なかなかリリーフ陣の顔ぶれが定まりきらなかった。そんな中で、山崎福の登板数は現在チーム内で5番目の多さとなっている。8月11日に再び1軍登録を抹消されたが、7月以降に2度の先発登板を経験するなど活躍の場を広げている26歳の左腕。終盤戦も与えられた役割を着実にこなしていき、首脳陣からのより大きな信頼を勝ち取りたいところだ。
◯高橋純平投手(ソフトバンク)
今季成績:33試合3勝1敗12ホールド 39回1/3 50奪三振 防御率2.29
2015年のドラフト1位で入団した高橋純は、ケガの影響もあって2018年までの3年間で1軍登板が1試合のみにとどまっていた。4年目を迎えた今季は若き右腕にとって勝負の1年でもあったが、5月に1軍へ合流してからは安定したピッチングを披露。時には2イニング以上を投げる試合もありながら、防御率は常に1点台以下を推移する抜群の安定感で、故障者が続出した投手陣にとって救世主ともいえる活躍を見せている。
38回2/3で49奪三振を記録している、高い奪三振能力も高橋純投手の持ち味の一つ。7月中旬からは勝ちパターンでの登板も増えてきたが、その後も活躍の場は1イニングのみにとどまらず、7月20日の楽天戦では2回2/3を、8月6日のロッテ戦では1回2/3を投げ抜き、それぞれホールドを記録。高校時代から高い評価を受けてきた逸材は相次ぐ苦難を乗り越え、いよいよ完全覚醒と呼べる飛躍の一年を過ごしつつある。
今回取り上げた6投手には、実質的に今季が1軍でのデビューシーズンに近い立場の高橋純を除けば、いずれも先発として起用されていた時期があるという共通点がある。7月まで先発として登板を重ねていた辛島はやや趣が異なるが、ロドリゲス、佐野、山崎福は実際に今季も先発のマウンドを踏んでおり、長いイニングを投げたことがある経験は、ロングリリーフに対応するにあたって重要となってくるのかもしれない。
もちろん、複数のイニングを任される投手にかかる負担は、短いイニングを投げる中継ぎ投手よりも大きくなりやすい。実際、開幕直後から投げ続けていた佐野、チェンは8月に入ってから調子を落としており、山崎福は2度目の2軍落ちを経験している。そんな中でも好投を続けているロドリゲスと高橋純のタフネスぶりはひときわ光るが、各投手にとっては猛暑が続くここからの時期が踏ん張りどころになってきそうだ。
チームのために連日のように身を粉にして投げ続ける、ロングリリーフというポジション。先発ともセットアッパーとも異なる立場ながら、チームに対する貢献度は十二分に大きい存在である彼らの投球にも、今一度注目してみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)