福井工大付福井、全国女子硬式野球ユース大会制覇を決めたのは1年生「体験したことない快感」
1年生の上杉が延長9回にサヨナラ打、中村監督「あの子はムードメーカー」
第10回記念全国女子硬式野球ユース大会は22日、埼玉県加須市の加須きずなスタジアムで、ともに初優勝を懸けた決勝が行われ、出場6度目の福井工大付福井(福井)が出場2度目のクラーク記念国際仙台キャンパス(宮城)に延長9回、1-0でサヨナラ勝ちした。
福井は9回2死後、捕手で2番の杉本詩織(2年)が2ストライクから右前に運ぶと、左バッターボックスに入った1年生の一塁手・上杉光涼が、やや内角寄りの初球の直球をジャストミート。打球は右翼手の頭上を越える二塁打となり、杉本が軽快にダイヤモンドを回って本塁を駆け抜け、鮮やかなサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
「ストレートが来たら初球から思いっ切り自分のスイングをしようと決めていました。打った瞬間、今まで体験したことのないくらいの快感でした。『やった、捕らえた』って感じです」
1年生ながら3番を任される上杉だが、この日はカーブに空振りの三振から始まり、遊ゴロ、直球を見逃し三振といいところがなかった。相手のエース小野寺佳奈(2年)は、120キロを超える速球派右腕。「ストレートに重みがあり、変化球も切れ味抜群のすごい投手でした」とリスペクトした。
この決勝二塁打が今大会5つ目の打点。それより何より1回戦から準決勝までの4試合を1人で投げ抜き、全て無失点勝利してきた小野寺から初めて打点を稼いだという殊勲に価値がある。
小学校1年から野球を始め、中学に入ると地元静岡の女子中学生硬式野球クラブチーム、「スルガマリンガールズ」に入って軟式から硬球に変えた。福井の高校を選んだのは、クラブの1つ上の先輩で、この日の決勝に代打で出場した仲のいい長島紫帆が進学したのが理由だという。「明るくて元気のある野球部なので福井に来ました」と説明した。
そんな明るいチームの伝統を上杉も継承していくはずだ。中村薫監督は「あの子は明るいムードメーカーですよ。試合でも練習でも笑顔を絶やさずにやっています」と評した。将来を嘱望された1年生は「来年の春も夏も頂点に立って3冠を獲得したい」と野望を抱いた。
(河野正 / Tadashi Kawano)