バーランダー、特定記者を取材拒否で物議 MLB機構はアストロズの対応に遺憾の意
元地元デトロイトの記者がクラブハウスに入れず、BBWAAも抗議
アストロズの右腕ジャスティン・バーランダーの取材拒否騒動が物議を醸している。21日(日本時間22日)に本拠地で行われたタイガース戦の後、この試合で先発登板したバーランダーがデトロイトの地元紙「デトロイト・フリー・プレス」のアンソニー・フェネク記者を名指しして取材を拒否。フェネク記者が参加する限り囲み取材に応じないとしたため、アストロズ広報部は同記者のクラブハウスへの入室を一部制限した。これを受けてMLB機構が遺憾の意を示すと同時に、全米野球記者協会(BBWAA)はMLBに迅速で適切な対応を求めている。
バーランダーは2005年にタイガースでデビューし、その後エースとして君臨。2011年にはサイ・ヤング賞とMVPを同時受賞していた。2017年途中にアストロズへトレード移籍したが、「デトロイト・フリー・プレス」と言えば“勝手知ったる仲”でもある。
メジャーでは、選手のロッカーがあるクラブハウスが試合前後の決められた時間帯にメディアに開放される。取材パスを持ったメディアは、この時間を利用して選手やコーチらを取材。開放される時間の長さや開放される場所などの詳細は、MLB機構と選手会の労使協定の中で定められ、メディアの取材する権利、選手のメディア対応の義務、球場外での選手のプライバシー保護などが保証されている。
フェネク記者はBBWAAが発行する取材パスを所持していたが、試合後にクラブハウスが開放された時に入室を拒まれ、同記者不在で行われたバーランダーの囲み取材終了後に、ようやく入室が許可されたという。
これを受けて「デトロイト・フリー・プレス」紙は「ジャスティン・バーランダーが本紙記者の取材を拒否」と速報で伝え、取材に応じなかったバーランダーとともに、クラブハウスへの入室を他の記者より遅らせたアストロズの対応を批判した。これを追う形で他のメディアも続々と報じると、MLB機構広報部のマイク・ティーバン氏が声明を発表。「球団とメディア間の規定により、試合後、当該記者は他のメディアと同時にクラブハウスへの入室が許可されるべきだった。この件に関してアストロズと連絡を取り続けている」と遺憾の意を示した。また、BBWAAのロブ・ビアテンフェル代表は声明を発表。BBWAAとしてアストロズに労使協定に違反していると「警告」を発し、MLBに迅速で適切な対応を取るように求めた。
一方、バーランダーは22日(同23日)に自身のツイッターを更新。「デトロイト・フリー・プレスの記者と話すことを拒否したのは、彼が過去に道徳に反する態度を取ったためだ」と説明し、取材拒否に発展するまで何度も同紙と連絡を試みたが、返事がなかったための措置だったと主張している。
メジャーでは、選手の試合に専念できる環境作りとともに、メディアの働く権利も保証されている。今回も問題となっているのは、フェネク記者の取材を拒否したこと以上に、クラブハウスの入室許可が遅れたために仕事をする時間を奪われたことだ。今回の一件についてMLB機構がどんな裁定を下すのか、注目が集まっている。
(Full-Count編集部)