投手・オオタニ復活を見守る、もう1人の新人王 09年アスレチックス守護神の今

“後輩”大谷の復活をサポート「今の楽しみの1つでもあるんだ」

 今季からはブルペンコーチに“昇格”。コーチとして携わる野球は、選手として携わる野球とまったく違い、新鮮な日々を過ごしているという。

「チェスに例えると、選手はコマで、監督はコマを動かすプレーヤー。その監督の下で準備を進め、戦略を立てるのがコーチだと思うんだ。今まではコマとして動かされる立場で、自分が何をするべきかに集中していた。でも、今はチーム全体を俯瞰して、それぞれのコマをどう動かせば勝利に結びつくのか、より広い視点で野球を見るようになったんだ。

 ブラッド(オースマス監督)やJP(ジョシュ・ポール・ベンチコーチ)から戦略を聞きながら、ブルペンをマネジメントする。野球ってこんな側面も持っていたんだ、こういう考え方もあったんだって、毎日新しい発見ばかり。それに、自分が怪我をした経験も、今では選手に伝える教材として活用することができる。ますます野球が面白くなってきたよ」

 そう言いながら、現役時代と同じ笑顔を浮かべるベイリーだが、今の楽しみの1つは投手・大谷の復帰過程を見守ることだという。24日(日本時間25日)に行われた術後12度目のブルペン投球では、スライダーを初めて投げるなど、大谷は来季の“二刀流”復活に向けて着実に歩を進めている。

「彼は今まで誰も成し遂げたことのない全く新しいことにチャレンジしている。本当にエキサイティングな選手だ。それをチームの一員として間近で見られることは、この上にない幸せに感じる。投手・オオタニが戻ってきてくれることは、もちろんブルペンコーチとして大歓迎だ。大幅な戦力アップになるからね。ありがたいことに、彼が復帰までの階段を上がる過程を目撃することができている。今の楽しみの1つでもあるんだ」

 また、新人王の“先輩”として、受賞者が感じるプレッシャーや期待の高さも熟知。“後輩”大谷はプレッシャーにうまく対応していると評価した。

「周囲からの注目やプレッシャーが高まるのと同時に、自分が自分に対して大きな期待をかけてしまうこともある。もちろん、自分はこれだけできるんだ、この数字は超えられる、といった自信は必要だけど、往々にして自分で必要以上のプレッシャーをかけてしまうもの。そのあたりをショウヘイは上手く対応していると思うよ。選手としてはもちろん、1人の人間としても、知れば知るほど興味深い存在だ。何度も怪我を経験した元投手としても、上手くサポートしながら、投手・オオタニの復帰を見守りたいね」

 2018年ア・リーグ新人王が歩む復活の道のりを、2009年ア・リーグ新人王は温かい目で見守り、サポートしている。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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