「僕のHR数は“おまけ”でいい」―西武山川、2年連続40号も「ここからは勝利第一」
「僕のホームラン数は”おまけ”でいい。必死でやります」
山川が中村を参考にしたのはバットの形だけではない。「50本塁打」を目標に公言して迎えた今シーズンだが、6月7月に調子を落とした。7月には打率が1割台に低迷し、自慢の本塁打も4本のみ。8月11日のロッテ戦では約2年ぶりに4番を外れ、打順を下げた。山川に代わり西武の4番に舞い戻ったのは中村だった。
中村の姿勢から、本塁打だけではないチーム打撃の重要性を学び取った。この日の試合では1死一、二塁の場面で一発ではなく右方向に安打を”狙って打った”という山川。「ああいうライト前ヒットで繋いでおけば、(不調の時期でも)気持ちも打率も繋ぐことができた。そのことにここまで気づけなかった。もったいなかった」と反省を口にした。
山川の活躍もあり、チームは最大8.5差あった首位・ソフトバンクとゲーム差なしまで詰め寄った。山川は「僕が打たなきゃという意識ではない。誰かが打てないときには、誰かが打って、みんなが打てなければ僕が打つ。終わったときに勝っていればそれでいい」ときっぱり。「これまでは個人の記録を大事にしてきたが、ここから先はチームの勝利が第一。僕のホームラン数は”おまけ”でいい。必死でやります」と言葉に力を込めた。鷹の背中はがっちり捉えた。王者にふさわしいのはどちらか、再び目覚めた山川のバットが答えを導き出す。
(安藤かなみ / Kanami Ando)