【U-18W杯】日の丸の重圧と2週間の“孤独”― 侍J奥川が「不安」と戦った103球18K

大会初先発の女房役は星稜でもバッテリーを組む山瀬慎之助とのコンビに【写真:荒川祐史】
大会初先発の女房役は星稜でもバッテリーを組む山瀬慎之助とのコンビに【写真:荒川祐史】

ブルペンでは佐々木もスタンバイ 負担がかかるため、中途半端な形でマウンドを譲るわけにはいかない

 先に点をやったことで気持ちのスイッチがさらに入った。ここからまた投球に磨きがかかった。

「もう点を与えたくない、と。気持ちを切らしてはだめなので集中切らさずにやっていきたいと思いました。パワーはすごいなと投げながら感じた。世界大会、簡単ではないなと思いました」

 三振を奪っている分、球数は増えた。105球を超えると、中4日空けないと試合には投げられない。決勝戦に進んだ場合、投げることができなくなる。球数を気にしながらのマウンドになった。

「中途半端で(マウンドを)渡したくない。終わらそうと思っていました」

 6回2死。最後の打者を迎えた。その時の球数は100球。4球で次の打者を終わらせないといけなかった。途中でリリーフするのは、次の投手に負担をかけてしまう。ブルペンではまだ登板のない佐々木朗希もスタンバイしていた。

「とにかくストライクで勝負していこうと思っていました」

 見事、3球三振で締めて、奥川の103球の“旅路”は終わった。自軍はその裏、貴重な3点を加え、試合を決めた。右腕の快投が導いた。

「スライダーが試合が修正できた。最初はコントロールできるようになった。手を緩めてコントロールしているので、しっかり腕を振ってやらないといけない。まだまだやれるかなと思いますし、これから戦いは続くので……。みんなと力を合わせてやっていきたい」

 ずっと投げたかった。ようやく、チームに貢献できた喜びを静かに噛みしめたが、すぐに気持ちを切り替えた。

「日の丸の重み感じました。これからもそういう場面感じる。今日は今日で、切り替える。これから相手も強くなる。これで満足したくない。世界一になるためにやることはあると思う」

 奥川はまだまだ歩みを止めない。

U-18W杯の侍ジャパン高校代表の試合日程は以下の通り(※全試合BS朝日・AbemaTVで放送予定)。

○オープニングラウンド
8月30日(金)日本vsスペイン 4○2
8月31日(土)日本vs南アフリカ 19○0
9月1日(日)日本vsアメリカ 16○7
9月2日(月)日本vs台湾 1●3
9月3日(火)日本vsパナマ 5○1

○スーパーラウンド
9月5日(木)日本vsカナダ 5○1
9月6日(金)18時~ 日本vs韓国
9月7日(土)12時30分~ 日本vsオーストラリア

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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