日ハム杉浦、地元・北海道へ贈る106日ぶり3勝目「諦めない姿勢を…」
北海道地震から1年…帯広市出身右腕が最下位脱出に貢献「勝つという気持ちだけは失わずに戦おうと」
■日本ハム 6-2 オリックス(6日・札幌ドーム)
日本ハムの杉浦稔大投手が6日、オリックス戦(札幌ドーム)に先発して6回2安打無失点と好投。5月23日楽天戦(札幌ドーム)以来となる3勝目を挙げた。
北海道・帯広市出身の道産子右腕が特別な日に106日ぶりの白星をマークした。震度7を記録した北海道胆振東部地震からちょうど1年。試合前には「北海道胆振東部地震復興祈念セレモニー」で黙祷も行われた。「意識はしていました。諦めない姿勢を見せられるようにと思っていましたが、勝つことができて良かったです」とお立ち台でホッと息をついた。
伸びのある直球とフォークで序盤からアウトを重ねた。初回、147キロ高め直球で中川から、131キロのフォークで吉田正から空振り三振を奪う上々の立ち上がり。安打と四球で許した2回1死一、二塁のピンチは三振ゲッツーで切り抜けた。5回1死一塁では小田の中堅への大きな当たりを中堅・西川が快足を飛ばして追いつき、すでに二塁を蹴っていた一走の小島を一塁でアウトにする併殺にも助けられた。
今季最長タイの6回88球を投げて2安打6三振1四球無失点の好投。「1個フォアボールを出しましたが、それ以外はカウントが悪くなってから粘ることができました。冷静にバッターを見ながらピッチングができていましたし、(捕手の清水)優心も状態を見ながらリードしてくれました」と、うなずいた。
今季は故障歴のある右肩の状態を確認しながら中10日以上の登板間隔を空けてマウンドに上がってきたが、8月中旬から通常の先発ローテーションに入っている。ここ3試合は中6日、中6日、中7日で先発。栗山監督は試合前に「丁寧に丁寧に(登板日を決め)、今回もどこで行くのが一番いいのか本人と話をした。今日もまた一番の試金石になる」と語っていた。「途中ちょっと心配したけれど、よく粘って6回まで投げてくれた」と高く評価した。
チームの連敗を8で止め、最下位脱出の立役者になった右腕は「なかなか噛み合わないことが多かったですけど、勝つという気持ちだけは失わずに戦おうと決めていました」と胸を張った。5月23日以来となる自身の白星について感想を求められると、「これだけ長い間かかって申し訳ないというか、情けないです」と照れくさそうに笑った。その表情には、大切な日に大きな壁を乗り越えた安堵感と先発ローテションの一角担う気概が入り混じっていた。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)