マジック灯した鷹のエース千賀 “女房”甲斐が認める力とは?「変に自分を見失わず…」
7回1死二、三塁では栗山に対してフォークを立て続けに投げる
■ソフトバンク 3-2 西武(12日・メットライフ)
ソフトバンクの千賀滉大投手が12日の西武戦(メットライフ)で8回1失点の快投で13勝目を挙げ、チームに優勝マジック「12」を点灯させた。前回登板した6日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成しており、ノーヒットノーランを達成した次の登板でも勝利投手になるのは、パ・リーグでは1996年の渡辺久信以来23年ぶりの快挙となった。
熱投がついにマジックを灯した。前回、育成出身選手として史上初のノーヒットノーランを達成した千賀。133球を投じていたが、中5日でマウンドに上がると4回まで1人の走者も許さない圧巻の投球で、西武打線を寄せつけなかった。
5回1死から栗山に右前安打を許し、14イニングぶりに安打を浴びたが、それでも許したヒットは6回まで2本のみ。圧巻だったのは7回。先頭の源田が左翼線へ二塁打を放ち、この日初めて得点圏に走者を背負った。その後1死二、三塁とピンチは拡大し、5回に安打を許していた栗山を迎えた。
この場面で、女房役の甲斐は千賀に対して決め球のフォークを立て続けに要求した。甲斐は「(組み始めた)17年からずっとそうやってきた。あれを止められなくなったら終わり。どこに当たっても止める気持ちだった」とショートバウンドのボールを身体を張って止めまくり、最後も内角のフォークで空を切らせた。
続く外崎に対しては155キロを超える直球を投じて追い込むと、最後は再び136キロのフォークでハーフスイングを奪い、圧巻の2者連続空振り三振。バッテリーの鬼気迫る奮闘で、窮地を脱した。
ピンチでも動じなかったエースの振る舞いを工藤監督も絶賛する。「ピンチのあとにチャンスありというが、ピンチを切り抜けるのはさすが」という指揮官の言葉通り、7回最大のピンチの直後にはグラシアルの左越えソロで先制に成功。試合の均衡を破り、流れを引き寄せるとそのまま勝利した。
甲斐は「変に自分を失わず、冷静にいれるのが千賀の力」と相棒を称えた。13勝目を挙げお立ち台に上がった千賀は「チームが勝ったことが1番だと思います」と話し「もう最後の最後、大事な試合が多いので自分の役割を果たせたらと思います」と大仕事をやってのけた安堵の表情を浮かべていた。