メジャーデビューから2試合連続完封 トム・フィーバス氏が77歳で死去

オリオールズなどで活躍したトム・フィーバス氏【写真:Getty Images】
オリオールズなどで活躍したトム・フィーバス氏【写真:Getty Images】

地元のオリオールズで3年連続2桁勝利を挙げた右腕

 1960年代にオリオールズなどで活躍した右腕投手、トム・フィーバス氏が9月5日、死去した。77歳だった。1942年4月7日、米メリーランド州ボルチモア生まれ。高校卒業後、1960年に地元ボルチモア・オリオールズとマイナー契約を結んだ。

 フィーバスにとって、オリオールズでプレーをすることは子供のころからの夢だった。6年目の1966年にメジャー昇格。9月15日のエンゼルス戦に先発し、4安打完封でメジャー初勝利を飾った。さらに2試合目の同20日のカンザスシティ・アスレチックス戦も5安打完封。メジャーデビューから2試合連続で完封勝利を飾ったのは、20世紀以降ではフィーバスが史上7人目だった。

 当時のオリオールズは、1番にルイス・アパリシーオ、3番にフランク・ロビンソン、5番にブルックス・ロビンソンとのちに殿堂入りする大選手が名を連ねていた。4番はMVPを獲得したこともある強打者のブーグ・パウエル。二塁はのちに巨人でプレーするデービー・ジョンソンだった。

 翌67年はチーム勝ち頭の14勝。この年のスポーティングニュースのルーキー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。1968年は15勝、69年も14勝を挙げた。1968年4月28日のレッドソックス戦ではノーヒットノーランを達成している。

 フィーバスは173センチ、83キロ。当時としても小柄な右腕投手だったが、落差のあるカーブとスライダーを駆使して、打者を打ち取った。ただ制球は悪く、1年目は114、2年目も105の四球を出した。しかし走者を背負っても動じにず後続を断つタイプだった。3年連続で200イニングを投げるなどタフな投手だった。

 1970年は登板数が減り、5勝どまり。ワールドシリーズでは救援で1勝を挙げたが、12月に複数選手が絡む大型トレードでパドレスに移籍した。71年もローテーションで投げたが、3勝11敗に終わり、72年のシーズン中にカブスに譲渡される。カブスでも活躍できず、オフにはのちにカージナルスの大監督となるトニー・ラルーサとのトレードでブレーブスに移籍。ブレーブスではマイナー暮らしとなり、同年オフに引退した。31歳だった。

 引退後は教員免許を取得し、フロリダ州で小学校教師として勤務した。

 通算成績は201試合56勝52敗。1030回を投げ、防御率3.33だった。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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