ヤクルト館山、引退するのになぜ10度目手術決断?「やってみたいことがある」
今月26日に予定、完治させて新たなトレーニング法構築へ
■中日 14-2 ヤクルト(21日・神宮)
今季限りで現役を引退するヤクルトの館山昌平投手が自身10度目となる手術を決断した。21日、本拠地の神宮球場で行われた中日戦で引退試合に臨んだ。先発マウンドに上がると、カウント1-2から大島を二ゴロに打ち取り、ファンから大きな拍手を浴びながら一塁ベンチへと戻った。現役17年の集大成となる魂の4球だった。
9度の手術を克服した38歳が衝撃の告白をしたのは、引退セレモニーで涙を流してファンに別れを告げた後だった。「26日に肘の手術をします。10度目ですね。自分の肘がどうなっているのか見てみたい。裏も表も全部。それが今後につながると思う。もちろん自費です」。10度目となる手術として、右肘にまたメスを入れるというのだ。
これまでに右肩、肘、血行障害など手術を受けること計9度。選手生命の危機を幾度も乗り越えて通算85勝を挙げた右腕が現役を終えた直後に手術を受ける。引退を決断し、もう投げる必要はなくなる。それなのに館山はまた、なぜ手術を受けるのだろう。
「投手のトレーニングはまだ未知数。自分でやってみたいことがある。そのためにも肘の可動域を戻して思い切りトレーニングしたい」。怪我で苦しんできたプロ野球人生だった。この経験を無駄にしないために、自身の肘がどのようになっているかを知り、そして、完治させてトレーニング方法などを研究していきたいのだという。
それは自分のためではなく、後輩たち、そして今後、野球界を担っていく後進たちのため。今後の肘の治療やトレーニングに役立てるために、自分の経験を後輩に伝えていく。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)