ロッテ福浦の幻に終わった1打席 親友・松井稼と誰も知らないセレモニーの真実

ロッテ・福浦和也(左)と西武・松井稼頭央2軍監督【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
ロッテ・福浦和也(左)と西武・松井稼頭央2軍監督【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

親友・松井稼頭央の目の前で決めた2000本安打「引退する稼頭央くんの目の前で打ちたい」

「福ちゃんに話さないといけないことがあるんだ」

 昨年9月中旬のとある日の事だ。福浦和也内野手は同じ年で仲のいいライオンズの松井稼頭央現2軍監督(当時外野手)から食事に誘われた。久々の食事の場。親友からは席に着くや今季限りで引退する話を切り出された。

「いきなり深刻な表情で言われたからね。覚悟はしたよ。この年までお互い励まし合いながらやってきた。デビューしたのは稼頭央くんが先で3拍子揃った選手として活躍する前から有名だった。オレとは全然、格の違う選手。ずっと、なんとか追いつけるようにとその背中を追いかけてきた。ベテランと呼ばれる年になって、同じ年の選手たちがとんどん辞めていく中で刺激を受け合いながらやってきた。それだけにショックだったね。寂しい想いだった。心にポッカリと穴が空いたような気分だった」

 この時点で福浦は通算2000本安打の偉業まであと4本と迫っていた。9月15日からはZOZOマリンスタジアムでの本拠地8連戦。8連戦の最後を締めるのは松井の所属するライオンズ3連戦だった。松井は出場登録を抹消されていたものの、チームに帯同をし続けていた。だから心の中で密かに照準を合わせた。

「ライオンズ戦で、稼頭央くんの前で2000本安打を打ちたい。誰にも言っていなかったけど、自分の中では、そう決めていた。引退する稼頭央くんの目の前で打ちたいとね」

 5試合を終えて残り2安打としライオンズ3連戦に突入した。8連戦7戦目の9月21日に1安打を放ち、9月22日のライオンズ戦を迎える。これが友の目の前で偉業を達成するラストチャンス。そしてチームはここから遠征に突入するため地元で記録を決めるためにも、残り1試合で絶対にヒットを記録しないといけなかった。

短い言葉の中にあった2人の思い「おめでとう」「ありがとう」

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