4発快勝の楽天、どうやって鷹・千賀を攻略? 鍵を握った“割り切り”の精神
初回、5回に浅村がソロ、3回にはオコエ、7回には茂木がソロを放ち逆転勝ち
■楽天 5-3 ソフトバンク(CS・5日・ヤフオクドーム)
5日に始まった「パーソル クライマックスシリーズ パ」1stステージ。初戦をモノにしたのは、パ・リーグ3位の楽天だった。その勝ち方はなかなかの衝撃だった。今季13勝、最多奪三振のタイトルも獲得したソフトバンク先発の千賀滉大投手から、4本のソロ本塁打を放って沈めたのだ。
初回、浅村が千賀の抜けたフォークを右中間のホームランテラス席へ運び先制のソロに。その後2点のビハインドとなったが、3回にオコエが千賀の真っ直ぐを左翼スタンドに運び、5回には浅村がストレートを左翼ホームランテラス席へ。この日2本目のソロで同点に追いつくつ、7回には茂木が千賀の真っ直ぐを左中間のホームランテラス席へと打ち込んだ。
千賀にとっては今季ワーストとなる1試合4被弾。まさかの一発攻勢で、楽天が初戦をモノにした。
今季227奪三振を奪った難攻不落の“千賀城”を楽天打線はどう攻略したか。その鍵は各打者の“割り切り”が鍵を握っていた。楽天の平石洋介監督は試合後、このように語った。
「迷いがあったらあの千賀のボールを打つのは厳しい。低めのボールを我慢しようと思っていたら、打てない。千賀なんてのは多少目付けを上げたとかではどうしようもない。空振りを恐れずに狙い球を仕留めに行くこと。それをよくやってくれたと思います」
最速161キロの真っ直ぐに、“お化け“と称されるフォーク、さらにはスライダーやカットボールなども操る千賀。今季227個の三振を奪っているように、そう易々と打てる投手ではない。そこで必要となるのが“割り切り”だった。
千賀のボールは迷っていたら打てない。狙い球を絞り、そのボールが来た際には思い切って打ちに行って逃さない。狙いが外れたり、いいところに決められてしまったら、仕方がない。チーム全体としてその意識が浸透し、徹底されていたからこそ、この日の4本塁打があった。
2本塁打を放った浅村も「いいところに決まったフォークは打てないと思ってやらないと、真っ直ぐもファールになってしまう。甘い球は、と思って臨んだ」と語っている。勝負は紙一重。一歩間違えば、キリキリ舞いにされていた可能性もある。それでも、短期決戦の一発勝負。策が見事にハマった楽天に勝利の女神が微笑んだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)