「売り子ペナントレース」優勝のななさん、本塁打直撃も「ここで休んでいられないって…」

ペナントレースが佳境の9月19日、マーティンの逆転3ランがまさかの直撃

 決勝ラウンドの最中には、まさかのアクシデントにも見舞われた。9月19日のオリックス戦。4回に2点を追うロッテは、2死一、三塁からレオニス・マーティン外野手が逆転3ランを放った。頼れる助っ人が運んだ鋭い打球はぐんぐんと伸び、なんとライトスタンドで販売していたななさんの足を直撃。「近くに飛んできたことは何度かあったんですけど、直撃は本当に初めてでびっくりしました(笑)」と明るく振り返るが、怪我の具合では決勝ラウンドを途中棄権しなければならない緊急事態だった。

「何が起こったのかわからなくて、とりあえず痛いので半泣き状態でした……。でも、お客様に『大丈夫?』って声をかけてもらって、やっぱりそこで痛いのを表に出してしまわないように、笑顔で『全然大丈夫です~! 行ってきま~す!』って、すぐに販売しました。全然休むことはなかったですね。ペナントレースをやっていたことも意識していたので、ここで休んでいられないっていう気持ちがあって、すぐに販売しに行きました」

 打球が直撃したふくらはぎには青あざができたが、「販売中は痛みは気にならないです。アドレナリンが出ています」と気合いでラストスパート。最終日の前日、福浦和也選手の引退試合だった9月23日の日本ハム戦では自己最高記録を更新する370杯を売り上げた。

 そして迎えた最終日。2位のりかさん(サッポロビール)に75杯差をつけていたが、「最後まで気が抜けませんでした。朝からお腹がキリキリして……。でも。最後だからどういう結果であれ悔いのないようにやろうと思って。集大成ということで、今まで以上に頑張りました」

 りかさんとは、決勝ラウンドを通じて激戦を繰り広げた。「気になりました。(売れ行きは)どうなんだろうと思って……。お客様が隣同士になって、その場に2人で行って販売とかもありました」。真剣勝負ゆえに互いに意識し合った末、「気まずささえありました」と明かすが、最終日には自己記録を大きく更新する412杯を売り上げ、リードを94杯に広げて勝ちきった。

優勝賞品はホノルル往復ペア航空券、自腹で2人分を足して4人家族でハワイ旅行を計画

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