けがからの飛躍でドラフト候補に 日体大・吉田を救った元中日投手の一言
けがした期間に自分を見つめられたことが、成長につながった
リハビリは患部を元に戻すことが目的ではない。けがをする前の状態以上にしないと意味がない。これまで大きなけがを経験してこなかった吉田は、離脱した当初は結構、落ち込んでいたが、その言葉で前を向くことができた。トレーナーとすぐにメニューを話し合い、以前の自分を超えるためのトレーニングを始めた。
そこで、高校の時にはあまり取り組んでこなかったウエートトレーニングを積極的に行った。「あまり、得意な方ではなかったんですが、この機会にトレーニング面を向上しようかなと思いました。(ウエートトレが)好きにはなれていないですけど、やればやった分、成長が見られるので、言い訳ができないというか、今は“やらなくてはいけない”みたいな感じになっていますね」。先輩やコーチ、トレーナーらに話を聞いた。日体大には筋トレに紐づく授業もあったため、一生懸命、耳を傾けた。
「完治してからはよくなりました。どうにかしてスピードを上げたいなと思っていたので、3年の2月のキャンプでスピードを求めて、練習をしました。その時、球速が大きく上がりました」。投げられる喜びと進化した体を手に入れた吉田のストレートは磨きがかかった。けがした期間に自分を見つめられたことが、成長に大きくつながった。
吉田ともう一人のドラフト候補の最速154キロ右腕・北山比呂投手(横浜高)も4年生で自信を手に入れた。辻コーチのプランニング通り、4年春でプロに行ける体が仕上がり、成績や球質が高いレベルに達した。ともに歩んだ4年間は遠回りではなかった。感謝の思いを抱き、プロの門を叩く。