「いろいろやってます。このチームには」―アストロズを上回った田中将大の快投劇

PS通算防御率1.32も「何よりも喜びというのは…」

 サンチェスが腰を浮かせ内角高めを要求した直後に、スライダー、スプリットを外角低めに投げる、“欺きの釣り球”に加え、その真意は明かさなかったが、「(日本時代から)あまりやりませんね」というブロックサインも駆使した。

 PSの通算防御率を歴代4位タイの1.32とし、ピンストライプの先輩マリアノ・リベラの0.70に次ぐヤンキース歴代2位へと躍進。しかし、大舞台で快投を演じる田中にとって、興味はそこに向かない。

「数字が残っているので、それを言われるのも分かるんですけど、何より喜びというのは、試合に勝った、自分の持っているものを出し切った、試合後のそういうところだけです」

“精密機械”の異名を取るマダックスが2002年の地区シリーズで記録した6回67球に肉迫する小気味いい投球に牽引されチームは敵地初戦に快勝。過去ア・リーグ優勝決定シリーズに駒を進めた49チームで第1戦に勝利したチームがワールドシリーズ進出を果たした確率は63%。

 田中の快投がチームに勢いをつけたのは確かだった。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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