巨人坂本勇、中日大野雄… セイバー目線で選出する9月の月間MVP【セ編】

阪神の西は4登板で4勝、月間防御率1.93をマーク

 西は今月4登板すべてで勝利投手となり月間防御率1.93もリーグ1位です。これだけ見れば西が月間MVPの最有力候補ですが、大野は9月14日の阪神戦でノーヒットノーランを記録しています。また9月30日の阪神戦で3回1/3を無失点で抑え、シーズン防御率を2.58とし、最優秀防御率のタイトルも獲得しました。これが選考にどう影響するでしょうか。

 なお、今月3勝の山口俊はシーズン15勝で最多勝、最高勝率、奪三振のタイトルを獲得しました。では、セイバーメトリクスの観点で3投手を評価してみましょう。

大野雄大
FIP2.16 WHIP0.59 QS率80% HQS率40% K/BB7.75 RSAA7.23
被本塁打1

西勇輝
FIP3.73 WHIP1.00 QS率75% HQS率50% K/BB4.00 RSAA0.84
被本塁打2

山口俊
FIP2.60 WHIP1.04 QS率50% HQS率50% K/BB2.33 RSAA4.19
被本塁打0

 大野はノーヒットノーランを達成した試合以外でも、8日のDeNA戦では8回1/3、被安打5、奪三振11の好投を見せるなど、あらゆる指標で好調な数値を残しています。特にK/BBが7.75と出色の成績です。また

(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9

 という計算式によって、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標RSAAにおいても、大野はリーグ1位を記録しています。よって9月の月間MVPに大野雄大を推挙いたします。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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