佐々木が注目浴びるドラフト、東北にもう一人の逸材 151キロ右腕の球は「芸術品」
「あと1年あったら150キロ台半ばまで一気に行ってしまうのではないか」
2年夏までは100球が目処で、完投できるようになったのは2年秋。3年生になり、「週に1度、完投させられるようになった」と兜森監督。3年間、1日や1週間など、細かく球数を気にしながら練習や試合をしてきた。また、堀田自信もトレーニングに関心が高く、様々な方法を学び、試すことで2年から3年にかけて大きな変化を遂げた。
「ウエートトレーニングで筋肉を大きくするだけでなく、鍛えた筋肉をいかにうまく使えるかが大切だと思っているので、そういうトレーニングを入れ、体になじませていく感じでやっています。その成果が今、だんだんと出てきているので、夏までにもう少し、進化できるように日々、やっていきたいです」
そう教えてくれたのが春の県大会。一冬で体重は70キロ前半から80キロ台に乗り、140キロに達していなかった球速は140キロを超えるようになった。その後、投げるたびにスピードは上がっていった。球速が落ちることなく、ゲームセットまで投げられるようにもなった。夏を前に兜森監督は堀田のストレートを「伸び盛り」と表現した。そして、「今もいいですよ」という声が明るく、「あと1年あったら150キロ台半ばまで一気に行ってしまうのではないか」と期待する。
中学時代から心にある座右の銘は「日々成長」。春から夏にかけて飛躍を見せた裏には、これまで重ねてきた堀田自身の努力がある。そして、選手の体の「個人差」を把握し、大切に育成する兜森監督のもとで3年間を過ごせたことも大きい。兜森監督はかつて青森山田シニアの監督を務めており、3年間で身長が20センチ伸びることもある中学生を指導した経験が「ベースかもしれませんね」。そんな環境もマッチしたのだろう。
入学時、ストレートのスピードは120キロ台だった。高校の3年間で着実にステップアップし、東北担当スカウトがイチオシする投手へと成長。プロ志望届を提出することが決まると、「3位までに残っていないでしょ」「上位で消えると思うよ」「外れ1位でほしい。俺は絶対にほしい。3年後くらいが楽しみ」とスカウトたちは沸いた。目指してきた甲子園のマウンドに立つことはできなかったが、もう1つの目標の行方はいかに――。運命の時が刻一刻と迫っている。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)